夢に咲く花(ゆめにさくはな)
幼い頃から、夢に惹かれていました。
見えるものだけでなく、その奥に隠されている何かに。
『永遠に:昨日、今日、そして明日』は、ある繰り返される想いから生まれました。
もし夢がただの無意識の反映ではなく、もっと深くて未知なるものへの“窓”だとしたら?
もし夢の中で、現実には存在しない誰かと出会い、本当の自分に触れられるとしたら?
アヴェレンは、静かで内向的な少女です。
周囲にはあまり気づかれないけれど、彼女の心の中には終わりなき問いと感情の波が広がっています。
この物語は、夢を通して彼女が見つける不思議な世界、そして自分自身を探す旅でもあります。
この本は、懐かしさ、繊細さ、そして「誰にも見られていないときの自分は誰なのか」という問いから生まれたものです。
完璧な物語ではないかもしれませんが、心から綴ったものです。
このページを開いてくれてありがとう。
この夢のような世界のどこかに、あなた自身のかけらが見つかりますように。
毎日が、少しずつ色あせていくようだった。
何も私の心を惹きつけなかった。
情熱と呼べるものも、見つからなかった。
人は皆、生まれつき何か特別な才能を持っていると言われる。
でも、私にはそれが何なのか分からなかった。
家族も、私を知る人たちも、私の勉強の成績や覚えの早さを褒めてくれたけれど、
私はただ学校に真面目に通っているだけの、普通の人間だと思っていた。
自分が特別だと感じたことなんて、一度もなかった。
私はいつも静かだった。
話すことも、意見を言うことも、特になかった。
だけど幸運なことに、私は一人じゃなかった。
二人の親友がいた。
彼らは毎日、くだらないことで私を笑わせてくれた。
たとえ、どんなに心が沈んでいても。
あの日の哲学の授業を、私はきっと忘れない。
先生が不在で、自由時間になった。
クラス中がある男子へのいたずらに笑っている中、
私は窓際の席で、別のものに心を奪われていた。
空は灰色に沈み、どこか物悲しげだった。
まるで、何かを語ろうとしているのに、それができないかのように。
私はそっと目を閉じた。
頬をなでる風を、五感で感じたかった。
――そして、そのまま眠りに落ちた。
目を開けたとき、私は別の場所にいた。
そこは、美しい小川のほとりだった。
その流れはどこまでも続き、始まりも終わりも見えなかった。
水は透き通り、神聖なほどに清らかで、ただ眺めているだけで胸がいっぱいになった。
小川の向こうには、色とりどりの花が咲き乱れる広大な草原が広がっていた。
あまりにも鮮やかで完璧なその花々は、まるで現実のものではないようだった。
私は、その景色に引き寄せられるように、小川を渡りたいと思った。
水は深そうだったけれど、少し離れた場所に白い小舟を見つけた。
私はそっと舟に乗り、櫂を手に取り、漕ぎ出した。
舟を進めていると、金色の魚たちが水の中を踊るように泳いでいた。
まるで舞台の上のダンサーたちのように。
私は手を伸ばし、水面に浮かぶ一輪の花を取った。
淡いピンクに金の輝きをまとったその花は、とても美しかった。
なぜか、それを大切に胸にしまった。
そのとき、あることに気づいた。
舟の櫂に、赤い糸のようなものが巻きついていたのだ。
私はそれを慎重にほどいた。
それは糸ではなく、繊細で細長い帯のようなものだった。
両端には小さな金の玉が付いていて、端はすでにほつれていた。
まるで、ずっと昔に誰かに切られたかのように。
それもまた、私は持っていくことにした。
やがて舟は対岸にたどり着き、私は花のあふれる世界へと足を踏み入れた。
空気は静かで、優しくて、
まるで夢の中にいるような感覚だった。
私はその場所を歩きながら、まるで絵筆で描かれたような、
あり得ないほど美しい花々を見つめていた。
ある花の花びらに、てんとう虫がそっと止まっていた。
その可愛らしさに目を奪われていたそのとき――
花々のあいだから、一人の少年が現れた。
彼は白と青の和風の装束をまとい、
その布には、そよ風のように繊細な刺繍が施されていた。
長く黒い髪は、夜の帳のように静かに揺れ、
その肌は、月に照らされた雲のように白かった。
不思議なことに、私は彼を初めて見た気がしなかった。
この物語を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
「いつか、誰かの心に残る物語を描きたい。」
その思いから、『Por siempre: Ayer, Hoy y Mañana』を書き始めました。
この作品の主人公アヴェレンは、自分の感情をうまく言葉にできない少女です。
静かな日常の中で、心にぽっかりと空いた空白を抱えながらも、夢という不思議な世界を通して、少しずつ自分自身と向き合っていきます。
この物語を書いていく中で、私自身もまた、自分の内面と向き合う時間が増えました。
日常の中にある「ささいな違和感」や、「言葉にできない感情」を、そっとすくい上げたかったのだと思います。
もしこの物語が、ほんの少しでも誰かの心に寄り添えたなら、
それは、私にとって何よりの喜びです。
これからもアヴェレンの旅は続きます。
また、夢の中でお会いしましょう。