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vintage   作者: 河村諭鳥
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7

ライブが当選したのは、その3日後だった。姉と二人で狂喜乱舞に喜び、その日から公式サイトでグッズをチェックしながら、当日の服装や髪型、 日曜日だったので、お昼御飯や、飲み物、小腹が空いた時のお菓子のチョイスまで話し合った。


「そんなに遠くない会場で良かったわ」


「ここなら、自転車でも行けそうだもんね」


「うん、充分行ける」


「楽しみだなー!もう来週かぁ。早く来い来い!」


「ほんとに!あーもっと曲間き込まないと!!」


「あぁー!ほんとだ」


と言って自分の部屋へ行き、アルバムを聞いた。

アルバムを聞いた時、この曲が好きで、後はまあまあ好きな感じだなーとかあるんだけど、このアルバムは、お世辞抜きで全曲好きだった。

聞けば聞く程好きになり、どんなライプになるか想像しながら、朝から晩まで聞き倒していた。

しかし、ライブの5日前になったある日、


「結講大きな台風が来てるみたいたね」


ニュースを見ながら姉が言った。


「え?ああーでもこの台風逸れるって言ってたけど?」


「なんか逸れてないみたい」


1週間位前から台風が出来ていた事は知っていたが、なんだかんだで自分の住んでいる所 は、逸れる事が多いので気にも留めていなかったが、ニュースの台風情報の進路を見ると、 明らかに自分の住んでいる所を直撃している。

しかも日曜日のライブの日た。


「多分、大丈夫だよ」


と私は笑いながら言ったが、時間が経つにつれてだんだん不安になり、携帯の台風情報を 数時間おきにチェックする様になり、アーティストのサイトも関連しそうな情報もマメに見た。



「皆、心配になってるね」


私は携帯で呟きを見ながら言った。

ライブ前夜の事だった。


「明日、電車が計画運休されるみたいだけど、○○さん、無事に着いたのかな?ライブや るのかな?

台風、奇跡的に逸れてくれないかな?

辛いけど遠方からの為、明日は諦めます。○○とライブ行く人が安全に楽しめます様に」


私は呟きを読んだら、


「色々あるよね。でも、こればかりはねぇ・・・」


姉が言った。


「自分が行けなくなるのが一番辛いはずなのに、行ける人達に楽しんで下さいって」


「優しいよね、本当に」


「うん、優しい人達が多い」


と二人でしみじみと話していた。

そして台風は進路を変える事なく、翌日を迎えたが、

ライブは予定通り開催すると○○の公式サイトから発表された。


「だんたん雨が強くなってきたね」


と窓の外を眺めながら私は言った。


「そうだね。お父さんとお母さんには話したの?」


姉が言った。


「うん、危ないから止めとけって散々言われたけど、お姉ちゃんも一緒だから大丈夫だっ て言い続けたら、渋々だけどOKしてくれた。でも何かあったらすぐに連絡しなさいって言われた」


「そっか」


「うん」


姉は携帯を見て、


「じゃあ、出発するよ」


と言った。


と私は大きく頷き、鞄と雨具を持って玄関を出た。


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