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ライブが当選したのは、その3日後だった。姉と二人で狂喜乱舞に喜び、その日から公式サイトでグッズをチェックしながら、当日の服装や髪型、 日曜日だったので、お昼御飯や、飲み物、小腹が空いた時のお菓子のチョイスまで話し合った。
「そんなに遠くない会場で良かったわ」
「ここなら、自転車でも行けそうだもんね」
「うん、充分行ける」
「楽しみだなー!もう来週かぁ。早く来い来い!」
「ほんとに!あーもっと曲間き込まないと!!」
「あぁー!ほんとだ」
と言って自分の部屋へ行き、アルバムを聞いた。
アルバムを聞いた時、この曲が好きで、後はまあまあ好きな感じだなーとかあるんだけど、このアルバムは、お世辞抜きで全曲好きだった。
聞けば聞く程好きになり、どんなライプになるか想像しながら、朝から晩まで聞き倒していた。
しかし、ライブの5日前になったある日、
「結講大きな台風が来てるみたいたね」
ニュースを見ながら姉が言った。
「え?ああーでもこの台風逸れるって言ってたけど?」
「なんか逸れてないみたい」
1週間位前から台風が出来ていた事は知っていたが、なんだかんだで自分の住んでいる所 は、逸れる事が多いので気にも留めていなかったが、ニュースの台風情報の進路を見ると、 明らかに自分の住んでいる所を直撃している。
しかも日曜日のライブの日た。
「多分、大丈夫だよ」
と私は笑いながら言ったが、時間が経つにつれてだんだん不安になり、携帯の台風情報を 数時間おきにチェックする様になり、アーティストのサイトも関連しそうな情報もマメに見た。
「皆、心配になってるね」
私は携帯で呟きを見ながら言った。
ライブ前夜の事だった。
「明日、電車が計画運休されるみたいだけど、○○さん、無事に着いたのかな?ライブや るのかな?
台風、奇跡的に逸れてくれないかな?
辛いけど遠方からの為、明日は諦めます。○○とライブ行く人が安全に楽しめます様に」
私は呟きを読んだら、
「色々あるよね。でも、こればかりはねぇ・・・」
姉が言った。
「自分が行けなくなるのが一番辛いはずなのに、行ける人達に楽しんで下さいって」
「優しいよね、本当に」
「うん、優しい人達が多い」
と二人でしみじみと話していた。
そして台風は進路を変える事なく、翌日を迎えたが、
ライブは予定通り開催すると○○の公式サイトから発表された。
「だんたん雨が強くなってきたね」
と窓の外を眺めながら私は言った。
「そうだね。お父さんとお母さんには話したの?」
姉が言った。
「うん、危ないから止めとけって散々言われたけど、お姉ちゃんも一緒だから大丈夫だっ て言い続けたら、渋々だけどOKしてくれた。でも何かあったらすぐに連絡しなさいって言われた」
「そっか」
「うん」
姉は携帯を見て、
「じゃあ、出発するよ」
と言った。
と私は大きく頷き、鞄と雨具を持って玄関を出た。