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ショッピングモールに着いた時には、汗だくになっていたけど、それでも駐輪場に急いで自転車を入れ、姉と二人で走って行ったが、すでに長蛇の列が出来ていた。
「こちらが最後尾になりまーす」
と、拡声器を持った係員の誘導する声が聞こえ、言われた所に並んだ。
「凄い人だね」
と姉が言った。
「うん」
「まだまだ時間かかりそうだね」
と姉が言ったが、その顔は笑顔だったので、私も笑顔で、
「そりゃそうだよ。当たり前じゃん」
と言った。周りを眺めると、大人から子供まで、笑顔で並んでいる人達が沢山いた。 目をキラキラ輝かせて、これから宝物を貰える子供みたいな顔だった。
私も同じ顔してるんだろうなと思って、
「お姉ちゃん、写真撮らない?」
と言うと、
「ええ一?」
と姉は笑ったが、
「今日の記念にさ、撮ろ撮ろ!」
と言って二人で自撮りした。
写真を見ると、とても良い笑顔の二人がいた。
しかし、だんだん前に進むにつれて、
景色が歪んでくるのか分かった。
○○の顔が見える位置まで来た時だった。
一人二枚までなのに、また並ぼうとする人がいたり、撮影禁止にも関わらず二階に行って ○○を撮ろうとしたり、隠れて動画を撮ってる人もいたり…。
でも○○は嫌な顔一つせず、笑顔でサインに応していた。
良い人すぎるよ。
何で怒らないの?
お仕事だから?
そんなにお金が欲しいの?好感度が下がるから?
「あーあ、もう上がってるよ」
と姉が表情の無い顔で、携帯を見ながら言った。
今、まさに起こっている事が動画に上がっている。 私はだんだん腹がムカムカし、吐き気がしてきて、
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
「え!?うそ?もうすぐだよ!!??」
言い終わらない内に私はトイレに駆け込んだ。
もうこの人のファンを辞めようと決めた。