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vintage   作者: 河村諭鳥
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5

ショッピングモールに着いた時には、汗だくになっていたけど、それでも駐輪場に急いで自転車を入れ、姉と二人で走って行ったが、すでに長蛇の列が出来ていた。


「こちらが最後尾になりまーす」


と、拡声器を持った係員の誘導する声が聞こえ、言われた所に並んだ。


「凄い人だね」


と姉が言った。


「うん」


「まだまだ時間かかりそうだね」


と姉が言ったが、その顔は笑顔だったので、私も笑顔で、


「そりゃそうだよ。当たり前じゃん」


と言った。周りを眺めると、大人から子供まで、笑顔で並んでいる人達が沢山いた。 目をキラキラ輝かせて、これから宝物を貰える子供みたいな顔だった。

私も同じ顔してるんだろうなと思って、


「お姉ちゃん、写真撮らない?」


と言うと、


「ええ一?」


と姉は笑ったが、


「今日の記念にさ、撮ろ撮ろ!」


と言って二人で自撮りした。

写真を見ると、とても良い笑顔の二人がいた。


しかし、だんだん前に進むにつれて、

景色が歪んでくるのか分かった。

○○の顔が見える位置まで来た時だった。

一人二枚までなのに、また並ぼうとする人がいたり、撮影禁止にも関わらず二階に行って ○○を撮ろうとしたり、隠れて動画を撮ってる人もいたり…。


でも○○は嫌な顔一つせず、笑顔でサインに応していた。


良い人すぎるよ。

何で怒らないの?

お仕事だから?

そんなにお金が欲しいの?好感度が下がるから?


「あーあ、もう上がってるよ」


と姉が表情の無い顔で、携帯を見ながら言った。

今、まさに起こっている事が動画に上がっている。 私はだんだん腹がムカムカし、吐き気がしてきて、


「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」


「え!?うそ?もうすぐだよ!!??」


言い終わらない内に私はトイレに駆け込んだ。


もうこの人のファンを辞めようと決めた。

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