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徒然なるままに陰陽師  作者: Noise
教会VS陰陽局(前編)
82/88

無駄な場で…



「疲れたぁ…。」


無駄に広い地下通路を幾つも抜け、やっと辿り着いた陰陽局の客間…。


乱暴に来客用のソファーへ座る明を明姫が睨む。


「お行儀が悪いですよ。」


明姫の説教タイムかと思いきや、業平が現れて秘書の由利香がコーヒーやら水が入ったグラスやらを明達の前へと並べてく。


「明姫様、園田氏を尾行してた者達ですが…、2時間ほど前には園田氏の追尾を断念し、古都の方へ向かっているようだと報告がありました。」


業平がタンタンと明姫に報告をする。


(うわぁー…、なんか仕事をしてるっぽい…。)


いつもと違う業平をじっくりと眺める。

明の視線に気付いた業平は


「なんだ?」


と明に問うが、まさか無駄な場所へ毎日無駄に通ってるだけだと思っていたと答える訳にはいかず


「いえ、お仕事、頑張って下さいね。」


と無駄なお嬢様スマイルで無意味な応援だけしてみる。

たまりかねた明姫が


「明さん…、いずれは貴方がここの責任者になるのですよ。貴方も真面目に報告を聞きなさい。」


と不真面目な明に注意を促して来る。


いずれ…。


本来なら、母の明菜が継ぐべき場所。

首都には陰陽局長が存在するが、古都は安倍家がある為に局長補佐の業平が仕切ってる。

その補佐の相談役を代々の安倍家当主が担ってる。


相談役である以上、陰陽局が持つ情報を常に共有する必要があり、報告を受けるのは安倍家の義務だと明姫が明に教育する。


「それから、今回の祓魔師の入国…、やはり蝦夷の塾長が原因であるという見方が濃厚ですね。」


業平が明をチラ見してから報告する。

塾長の話なら明が興味を示すと思ってる。


「塾長が原因って、どういう意味?」


業平の思惑通りに明が食い付いて来るが業平は一応は明姫に伺いを立てる。

明姫が頷いてから業平は口を開く。


「ジャックザリッパー事件で焦っていた祓魔師は新たな能力者を求めていた。塾長は最終的に白河 新を祓魔師側へ売り飛ばす事を計画していたんだ。」


陰陽師の家系とは関係のない一般能力者の新なら、能力が自然消滅したとか適当な理由をでっち上げるくらい塾長には容易い事だ。


「祓魔師が何故、そこまでして能力者を欲しがるの?」

「祓魔師がというより、彼らが所属する宗教の教会本部の命令だと思われる。」

「だから…、なんで欲しがるのよ。」

「ここ100年、宗教離れが進んでるからな。」


業平がこのくらいの知識は基本だという顔をする。

山崎や悠一も当然とばかり頷く。


明だって全く知らない訳ではない。

疫病や災害が起きると人は宗教に頼ろうとする。

だが、その疫病がインフルエンザのように当たり前になったり、災害も毎年のように繰り返されると人は宗教には見向きもしなくなる。


特に親が宗教離れをした場合、その子らも離れる傾向があり、『災害は神の与えたもう試練である』と説法で諭したところで、それがどうしたとスルーする。


「信者が減れば、教会が成り立たない事くらいは理解してるわよ。でも、教会は世界最大の信者を誇る宗教でしょ?ちょっとやそっとで無くなりはしないし、新君一人で何が変わるというのよ?」


フンと業平から顔を背ければ、明に甘い業平が事細かな説明をする。


「パフォーマンスの為だ。明も知っての通り、白河 新の能力は大気を操るものだ。力の大小はあれど、天帝が振るう能力に近い。」


つまり西洋で言う神に近い能力である。

信者が少ない街で新が嵐を起こし、その嵐を神の名の元に祓魔師が祓えばあっという間に信者が増える。


「そんなくだらない事の為に…。」


人一人の自由を奪って良い理由にはならない。


「後は、ここ数年続く干ばつのせいもある。」


地球温暖化の影響で大気に乱れが生じてる。

平均気温は3℃ほど上がり、西側諸国の干ばつの問題は深刻化してるのも事実だ。

逆に雨が降れば浸水するほどの集中豪雨が続き、世界全体のバランスが取れていない状況が続いてる。


その状況での気候を操る能力は、確実に手に入れるべき存在だったのに、西洋とは文化の違う東洋の陰陽師が祓ってしまったのだから、教会はたまったもんじゃない。


「とはいえ、教会も白河 新を手に入れる予定は秘密裏に動いていた事だから、あまり(おおやけ)には出来ない。そこで祓魔師を送り込んで新消失の原因を探りに来たと推測される。」


業平がドヤ顔で話を締めくくる。

また面倒な事に巻き込まれるのは御免だと明は業平のドヤ顔をスルーする事にした。





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