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徒然なるままに陰陽師  作者: Noise
自由気ままに
57/88

寮則



「ふぁ…。」


楓が大きな欠伸をする。

塾と寮には色々と決まりがある。

まず朝は、6時半までに全員が食堂に揃ってなければならない。


「楓ちゃん、起きて…。」


まだ寝ぼけてるヤンキーを巫女姿の美里が揺すってる。


「朝食を食べながらで良いから聞いて欲しい。今日から陰陽局の役人さん達が視察に来る。視察と言っても君達の日常生活を見に来るってだけだ。塾生は視察をあまり意識せずにいつも通りの生活を送るように…。」


塾長は笑顔で話をするが塾生の楓や美里、新は微妙な不安を顔に出す。


「視察は週末まで…、それが終われば中間テスト。集中しづらいとは思うがしっかり頑張るように。」


塾長の言葉で明も不安になる。


(私もここで中間テストを受けるの?)


受けたところで意味がない。

明の本来の学校では、この週末にテストが行なわれてるはずで、古都へ帰れば明には追試が待っている。


「安倍さん…、顔色が悪いよ。」


美里が心配してくれる。


「明でいいよ。美里ちゃん…。」

「今日の視察…、明さんも不安?」

「視察より中間テストが…。」


明と美里の会話に楓がうんうんと頷く。


「本当、迷惑だよな。テスト前に視察に来るとか…。勉強の邪魔だぜ。」

「いや…、楓は勉強しないだろ?」


思わず新がツッコミを入れる。


「ジタバタするとか性に合わねぇんだよ。」


ぶっきらぼうに楓が言う。


「てか、週末かぁ…、視察があるし、テスト前だけど外出とか出来るのかなぁ?」


業平と食べた牛タンバーガーをもう一度食べたいと明は思っていた。


街までは4時間はかかるが朝から行けば昼には着く。


「日曜日はダメだけど、土曜日だけなら大丈夫だよ。」


美里が規則を教えてくれる。


「日曜日はダメなの?」

「日曜日はテスト前日になるから。」

「あっ、そうか。」

「でも、外出して、どこ行くの?」


この辺りは見渡す限り山しかない。


「うちの車があるから街まで行こうと思ってるの。参考書とかも買いたいし…。皆んなも一緒に行く?」


明の誘いに美里も楓も目を輝かす。


「行くっ!」

「新も行こうぜ。」

「うん、僕もいいの?」

「皆んなで牛タンバーガーを食べようよ。」

「街に、そんなのあるの?」

「牛タンより海鮮丼がいいよ。この寮、山だから新鮮な魚料理が少ないんだよ。」


こうして見ると誰もが普通の高校生だと思う。


「じゃあ、塾長に言って皆んなの分の外出の許可貰って来てやるよ。」


楓が皆んなの面倒を見てやると張り切ってる。


そして放課後…。


「信じらんねー。」


教室で楓が叫ぶ。


「仕方ないよ。」


美里が楓を慰める。


外出許可は降りた…。

ただし、テスト前で視察中だから条件付き…。


「君達だけが楽しむとか、許可する訳ないじゃん。」


ニヤリと山崎が笑う。


「古澤先生も来るの?」


美里が恐る恐ると聞く。


「当然、俺と古澤先生が保護者として付き添います。後、日曜日もたっぷりとテスト勉強に付き合います。」


フンッと鼻息を出す山崎。

山崎は普通教員の資格も持ってる事を思い出す。


(てか、アイツ…、学校の教員バイトは?)


明の本来の学校で、今はアルバイト古典教員のはずである山崎をジッと見る。


「昼飯は好きなものを皆んなに奢ってあげよう。」


悠一が山崎を見る明にウィンクする。

そのウィンクをスルーして明は視線を窓の外へ移す。


「明さん?」


新が明の顔を覗き込む。


「そろそろ、視察が来るよね。」


明が呟いた一言で、教室には微妙な緊張が走った。



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