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徒然なるままに陰陽師  作者: Noise
果てしなき旅へ
53/88

阿吽



「菜々(ななお)ちゃんだっ!」


悠一が出した式神に真っ先に食い付いたのは顔を真っ赤にして興奮する美里だった。


明達には水着姿でムチムチの身体を見せびらかす3人の女性にしか見えない。


「おっ?君は菜々緒ちゃんを知ってるの?」


悠一が満足そうにうんうんと頷く。


「はいっ!おじいちゃんがファンなんです。」

「菜々緒ちゃんの良さを知ってるおじいちゃんは通だねー。」

「こっちは女王の千織(ちおり)さんで、こっちは新人の美結(みゆ)ちゃんですよね?」

「そうそう、よく知ってるねー。」

「はいっ!グラビアアイドルならメジャーからマイナーまでほとんど知ってます。」


水着姿の式神を出しただけの悠一が、人見知りをする美里をしっかりと手懐けてる。


「何…、アレ…。」


この状況に引いてる明の隣で


「現役のグラビアアイドルを式神にしてるって、あのオッサン、一体何者?」


と楓も引き気味に言う。


「だから…、古澤先生は凄く強いから逆らわないようにって説明したじゃん。」


明と楓の肩をポンッと叩く山崎だが、明達にはグラビアアイドルと陰陽の強さが繋がらない。


「それじゃ、美里ちゃんの式神を見せてくれる?」


悠一が美里を誘導する。


「式神っていうか…。」


少しもじもじしながらも美里が着物の合わせ口から一枚の札を出す。

それを半分に折ると空に放り投げ


「えいっ!」


と指先で札を切る。


「はい?」


札が真っ二つになり地面に落ちる。

陰陽師の常識では有り得ない光景だ。

まずもって式神を呼ぶ札を傷付けたら全く使い物にならないと明は教わって来た。


なのに傷付けられた2枚の札は地面でポンッと煙を出して、何かの形へと変化する。


それは仔犬のようにも見える。

黒い瞳の真っ白な仔犬。

もう一匹は白い瞳の真っ黒な仔犬。


「俺達に、なんか用か?」


キリッとした表情の黒い仔犬が美里と白い仔犬の前に立ち塞がり、グルグルと威嚇の咆哮を聞かせて悠一に向かって質問する。


「なるほど、これは狛犬か…、君が『吽』で白い方が『阿』だな。」


顎を指先で撫でながら悠一がまじまじと『吽』と呼ぶ黒い仔犬を見る。

『阿』と呼ばれた白い仔犬はだらしなく半開きにした口から舌を出して美里に向かって尻尾を振る。


「オッサン、何者だ。」

「何者ってほどじゃないけど普通の陰陽師だよ。同じ陰陽師として美里ちゃんの式神には興味があるから見せて貰ってるところだよ。」

「俺達は見世物じゃねーぞ。」


悠一は狛犬だと言うが、どう見ても普通の黒い仔犬がキャンキャン吠えてるようにしか見えない。


それに狛犬なら式神とは違うと明は考える。

あれは、御使いとも呼ばれる神使。

神に使えるもの…。

人が容易く式神に出来るものではない。


神使は神の種類で変わる。

稲荷の狐や水神の(みずち)

そんな神使が人を守る式神として人前に出て来る理由は一つだけ…。


美里の家系は神と契約をした一族という事だ。


「この式神、美里ちゃんの家族は全員が呼べるの?」


悠一が聞く。


「呼べるのはおじいちゃんと私だけです。今はおじいちゃんがうちの神社の神主で…、おじいちゃんが引退したら私が次の神主になるんです。」


美里が素直に悠一に答える。


だから、地元からは出ない力。

美里の家系が守る神社の神が神主の家族を守ると契約した一族専用の式神が白黒の狛犬だ。


これは陰陽局としては使えない能力だと言える。

あくまでも美里の家系が受け継ぐ神社だけに有効な能力である。


「そうか…、珍しい式神を見せてくれてありがとうね。美里ちゃん。」


神使をいつまでも人の目に晒すのは良くないと悠一が美里へ促す。


「変な事で呼び出してごめんね。」


美里が仔犬の頭を撫でてポンッと2匹の狛犬が消えると元の破れた札はグランドへ落ちた。



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