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徒然なるままに陰陽師  作者: Noise
まだまだ帰れない
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悟り



人生を楽しむというのは難しい事らしい…。


僅か17歳の少女がそんな悟りを拓く。


「力を持つ者の責任という言葉の意味はくれぐれも明姫から教わってるよね?明…。」


珍しく忠が怒ってる。


「でも、お爺さま…。」

「でもは通用しない。」

「だって…。」


明は普通の休暇を楽しむつもりで業平と人魚ショーを観に行っただけだ。


その人魚が水槽の中から観客に手を振る。

業平と2人で人魚に手を振り返しただけで、人魚が次々に溺れ出すとか普通は考えも及ばない。


業平のセクシービームの危険性を軽視した明が悪いと叱られても納得なんか出来やしない。


ショーは中断、溺れた人魚は医務室送り…。

幸い皆が軽傷との事…。

しかし、貸切である以上は陰陽局が損害を賠償する責任があり、この件を有事と判断した場合、今のトップは明である以上、明にも責任があると忠が言う。


「その責任は俺が…。」


業平が明を庇うが


「君は安倍家預かりの身、しかも今は休暇中。」


と忠が業平の立場を諭した上で控えろと諌める。

忠が明を叱る理由は、この件だけではない。

南の島で明が安易に酒呑を呼び出し、力を与えてた事も忠は危険な行為だったと言いたいのだ。


「くれぐれも安倍家次期当主としての責任を明はよく考えなさい。」


陰陽師は詐欺師だと明に教える忠。

そんな犯罪的で危険な陰陽師の力を無闇に振り撒くなと言いたいらしい。


「申し訳ございませんでした。お爺さま。」


明は忠には嫌われたくない。


「明は、のんびり過ごせばいいよ。」


明がしょぼくれれば忠は明の頭を撫でて甘やかす。


「お爺さま…。」

「明日は私と映画でも観ようか?」

「はい。」


映画なら業平の被害者は出なかったと忠からも遠回しに言われる。


山崎のせいだ。

普通の女の子として遊びたいけど遊べない。

そんな明を山崎は悪の道へと唆す存在だ。


「では、明日…。」


忠と一緒に居れば安全だろうと判断して自分の部屋へ戻る事にする。


「今度からマスクとサングラスを着用する。」


やたらと凹む業平が明を部屋まで送る為について来る。

そんな変質者みたいな男とデートとかお断りだと思う。


「業平のせいじゃないわ。それより明日のお爺さまとの映画は業平も来るでしょ?」


今は業平に精一杯の笑顔を向けてやるのが明の優しさ。


「明が行くなら何処へでも行くよ。今夜は疲れたろ。ゆっくりとおやすみ…。」


明の手を取り口付けをした業平が背を向けたのを確認してから自分の部屋に入る。


疲れた…。


ドレスのままベッドへ倒れ込む。

はしたない…。

明姫が居たら、そう言うだろう。


考えたくないと思考を止めた明が眠りに落ちるのは一瞬の出来事だった。


翌日…。


「やっぱり、業平…、マスクとサングラスをすべきよ。」


朝食を済ませ、忠と映画館へ来た。

本来、乗船した客は明達だけのはず…。


なのに映画館の座席は何故か満席に近い数の女性で埋めつくされている。

誰もが映画など観ずに業平へ視線を集めては失神する。


「やれやれ…。」


落ち着いて映画すら観れないと忠がため息を吐く。


「申し訳ございません。忠様…。」


業平は忠に平謝りしか出来ない。


「何をしたの?」

「身体が鈍るから、今朝は船内のランニングを…。」


隅々まで走り回った結果、乗務員やその他の女性スタッフに取り憑かれてしまった。


「陰陽の兄さん、呪われてる?」


山崎が指を2本立てて魔除けの陣を空に描く。


「失礼ね。業平様は神に選ばれた御方なのよ。」


山崎の首を絞めて由利香が叫ぶ。


「うるさい…。」


明がそう呟く。

映画すら静かに観れない。

それが明の日常である。

17歳の少女が新たな悟りを拓くまではまだまだ時間が必要だった。



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