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徒然なるままに陰陽師  作者: Noise
明、南の島へ(後編)
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船着場にて



退屈…。


膨れっ面で不機嫌を顕にした明がフェリーが来ない船着場で海を眺めてる。

そんな明を更に眺める悠一と山崎。


船着場には簡易のテーブルと椅子が有り、そのテーブルで優雅にコーヒーを飲むのは忠と森下の老人組だ。


あれから3日以上は経ってる。

翌日は誰もがクタクタで深い眠りに落ちた。


そして…。


まずは陰陽局の人間がフェリーで本島の警察へ行き、問題のシャーマンを引き渡し、誘拐に加担したと思われる島人の男達も逮捕される事が決まった。


「まだなの~?」


明が、ここには居ない業平に文句を言う。

事件は終わったのに…。


島で起きた事を秘密裏に処理にする為、陰陽局は牛鬼が埋められた穴から人に幻覚を見せる危険なガスが出てると発表した。

島は封鎖が決まり、残った居留地の人間も本島への移住が決定する。


更に陰陽局は石像があった洞窟を破壊し、危険な五芒星を封印する。

居留地は島の真ん中に位置し、運悪く五芒星の邪気が一番溜まる場所に存在した。

長く邪気に晒され続けた人々は誘拐という犯罪の善悪すら区別がつかないほどだった。


こうした処理が行われた島は本当の意味で楽園となり、波の音しか聞こえない静かな島へと変わった。


ネットもテレビも存在しない静かな島。

事後処理に追われて島中を走り回る業平とは違い、プールで遊んでみたり悠一達とバーベキューをしたりする明はそろそろ限界だと思う。


「陰陽局…、置いて帰ろ~よ。明ちゃん。」

「その陰陽局からの船が迎えに来るまで島から動けないんだってば…。」


明達を回収する為に陰陽局が貸切にした豪華客船が向かってるらしい。

到着は夕方…。

客船は本島にしか停泊出来ない。

ひとまず今の明達はおなじみのフェリーで本島へ行く予定だ。


あれから業平とはまともに会話も出来ていない。

何事にも全力を尽くす生真面目な業平は五芒星の破壊と封印に力を使い果たし、明が待つコテージに戻って来てもベッドに倒れ込む姿しか見せてない。


「業平の馬鹿ぁ…。」


この島で明がイチャイチャしたのは鬼の酒呑童子だけ…。

せっかくのハネムーンスィートも無意味な状況だ。


「暇ならパパとジャングルで遊ぶ?」

「蛇が出るからイヤッ!」


五芒星はもう無い。

酒呑を呼び出す事も出来ず、退屈でたまらないと子供のように明が地団駄を踏む。


「もうすぐ迎えのフェリーが来るから…。」


落ち着きなさいと忠が明を窘める。

危険なガスが出る島になったので森下も一緒に帰る事が決まった。

森下の研究もガスの影響を受けた島人が鬼の幻影を見たという事で幕を閉じるしかなかった。


業平達は最後の島の見回りで出掛けてる。

そろそろ船着場へ来る頃だと思うが、なかなか現れない為に明のイライラが募る。


船着場でいじけて座る明の隣に山崎が座る。


「あんな仕事人間のどこがいいの?明ちゃん。」


山崎の、いつもの口調ではあるが目が笑ってない。


「例え仕事人間でも、真面目に仕事をしないアンタよりマシよ。」

「酷いなぁ。明ちゃんは…、俺が真面目に仕事をしたら明ちゃんの大事な鬼を祓っちゃうよ?」


一瞬、背筋がゾクリとした。

未だに、山崎の正体はわからない。

陰陽師という事は確信したが、その能力が悠一よりも上か下かまでは測り切れていない。


「アンタなんかに…。」


酒呑は祓えないと言い切る自信が持てない。


ニヤリと不敵に笑う山崎が立ち上がると船着場へ車がゾロゾロと入って来る。


「待たせたな。明…。」


業平が車から降りて来る。


「なりっ!」


山崎から感じた恐怖が拭えずに、業平にしがみつく。


「明?」


業平が明の顔色を確認する前に、海の向こう側に明が待ち望むフェリーの姿が見えた為、明の不安に気付く人間は誰も存在しなかった。



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