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徒然なるままに陰陽師  作者: Noise
明、南の島へ(後編)
38/88

父親



「一体、なんですの!?」


急ブレーキで頭をぶつけた由利香が叫ぶ。

道にはやはりバリケードが有り、ライフルや斧、鉈を持つ男達が20人ほどでバリケードの向こう側から、こちらを威嚇しているのが見える。


雨のせいで視界が悪い。

明が車から降りるから、業平や悠一達も慌てて車から降りて来る。


男達の中に一人だけ中年の女が居る。

40代前半だとは思うが森下のように肌が浅黒いうえにシワが深く刻まれてる為に老婆のようにも見える。


寸胴のワンピース。

首から(まじな)いの文字が刻まれた木彫りのネックレスを下げている以上、あれが島のシャーマンかと明が睨みつける。


グオオォォォ...


島人の後ろから何かの咆哮が聞こえ出す。


「明っ!」


業平が明の前に出る。

暗闇に目が慣れて来た。

雨は更に激しくなる。

かなり悪い視界の中に山の様な影が揺らぐ。


「なんだよ...、あれ...。」


山崎が人差し指と中指の2本を立てて影に対抗する姿勢を見せる。

それは鬼斬りである由利香も同じだ。


牛の頭を持つ巨大な鬼が四つん這いで、明達に荒い息を吹きかけてるようにも見える。


「ありゃ、牛鬼か...、生け贄を喰いまくって馬鹿みたいにデカくなってやがる。どうする?明。」


10m以上はある牛鬼を相手にする。

悠一が言うように、長きに渡り生け贄を喰らい続けた鬼は力を持ち強気で明達に向かって来るだろう。


悠一が明の肩に手を置く。

普通の鬼退治の攻撃は無意味だ。

そもそも、陰陽師は祓う事が仕事。

祓うとは、一時的に退けるだけで倒す訳ではない。


しかも、あれは神。

信仰がある限り、祓う事すら出来ない存在にまでなってしまっている。

明の肩に乗る手が、今更を明に突き付ける。


頼りたくない父親。

それでも頼るしかない父親。


悔しいが悠一をスルー出来なくなった明が口を開く。


「島の人の足止めをして...。時間が欲しいの。」


かろうじて、そう言うと明が屈んで地面に手を付く。


「パパに任せなさ~い。」


水を得た魚のようにイキイキとする悠一が両手いっぱいに紙札を出す。

何かの呪文を唱えて紙札を空へ投げるとヒラヒラと舞い落ちる札が地面に着くと同時に人型へと変わってく。


悠一の式神だ。

業平達は鬼に対する防御の結界は張れても、島人からの人為的攻撃はかわせない。

その為に式神でこちら側もバリケードを作る。

少し気に入らないのは、悠一の式神は全て女型であり、最近の見覚えのある金髪の女が混ざってる。


(新たに加わったキャサリンね。)


明がケッと悪態をつく。

悠一が作る式神は全てアドレスに登録された女の分身。

いわゆる生霊(どっぺるげんがー)だ。

そのやり方なら自分の霊力はほとんど使わずに楽なのだと悠一から聞いた事がある。


「業平は鬼用の結界を...。山崎と鬼斬りは業平のサポートを...。」


明の指示に


「小娘に言われなくとも業平様は私が護りますわ。」


と由利香が答える。


業平が牛鬼に備えて結界を張る。

業平の結界なら悠一とレベル的に変わらない。

これで自分のやるべき事が出来る。


ニヤリと笑う明が地面に向かって言霊を発した。



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