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成金お嬢様、災害を未然に防ぐ(後半)

「なに!?大規模な地震!?教会から人を派遣するぞ!」


聖王ランスロットは、突然の報せに動揺しつつも人々を守らねばと思いそう言った。しかし、地震を伝えた神官はさらに続ける。


「いえ、それが…人的被害はないようです」


「え?」


「ルーヴルナという商人の娘が、たまたま被災地の人々を自分の私有地に出来た村に招待していたらしく…奇跡的に村に人はいなかったのです」


「…ルーヴルナ!」


やはり!やはり彼女は神の遣わせた聖女なのだ!


また人を救った!


これは、ルーヴルナに褒美を与える必要がある!


「そして、しばらくの間私有地にできた村に被災者たちを泊めるらしく…あとは、復興に向けた活動をするだけでしょう」


「ふむ」


「しかも、ルーヴルナは被災者たちに色々と理由をつけて賃金としてお金を渡したらしく、復興に向けた資金やしばらくの生活費も心配なさそうです」


「おお…!」


なんと素晴らしい!


慈愛の心も持つ、完璧な聖女だ!


「そして、これはまだ確定ではないのですが…」


「なんだ」


「被災地の復興の際、私有地の村に住まわせている獣人たちに手伝わせる算段だとか」


「なに!?」


「ルーヴルナに奴隷から解放してもらった獣人たちは、ルーヴルナからの依頼ならば喜んで受け入れるでしょう。当然そうなればやる気もありますから、そんな獣人のパワーならば復興は人々が思う何倍も早く進むでしょう」


そうか…!なるほど、わかったぞ!ルーヴルナが獣人たちを解放した理由が!


すべてはこのためだったのだ!彼女は教義に背いたのではなく、より多くの民を助けるために獣人を救ったのだ!


「…やはり、彼女こそが聖女。よかった、排除などしなくて」


ホッと息をつく。彼女は必要な人だ。消してはいけない。気付けて良かった。


「…おい、ルーヴルナと会って話がしたい。彼女に予定を聞いておけ。会談をセッティングしろ」


「よろしいのですか?彼女は、獣人の奴隷を解放した者ですよ」


「だが、そのおかげで復興が進みそうなんだろう?彼女は間違いなく聖女だ。我はそう思っている。一度、きちんと話をするべきだ」


「…なるほど。では、そのように」


「頼んだ」


ランスロットは、難しい顔をしながらも実際は楽しみで仕方がない。ルーヴルナは、実際に会ったらどんな人だろう。


聖女らしい可憐な人か、慈愛深い優しい人か。


ランスロットは逸る心を抑えるのに必死だ。だからまさか、後日ルーヴルナが『しばらく予定は空いていない』と会談を引き延ばす返事をしてくるとは思わなかったようだ。

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