成金お嬢様、そろそろ仕掛ける
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ルーヴルナはそろそろキレた。
最近色々起こりすぎである。特に従姉との絡みは普通にストレスだった。
なので、癒されてもいいと思うのだ。理想は恋人との甘い日々。というわけで。
「ジルとそろそろ、くっつきますわ!」
ルーヴルナは別に鈍くはないので、ジルからの主従の絆を超えた好意に気付いていないわけではない。
主従と言っても、ルーヴルナは別に貴族ではないので身分差も越えられないほどではない。おまけにジルは優秀だ。入り婿になってくれたら普通に家のためにもなる。
ということで。
「問題は、どのようにロマンチックな雰囲気を演出するか…ですわ!」
せっかく好意を持たれていること確定なのなら、良い感じにくっつきたい。
ルーヴルナはせっせと計画を練った。
「ということで、お花畑に到着ですわ〜!」
ルーヴルナがジルを連れてきたのは、ルーヴルナの私有地の村…狼月村の観光のために開かれたお花畑。…ちなみに、村の名前はまんまルーヴルナの名前から取っている。
「見てくださいまし、ジル!わたくしの村のお花畑は、とてもとても広大でロマンチックでしょう?」
「ふふ、そうですね。さすがはお嬢様です」
はしゃぐルーヴルナに、ジルは微笑ましい気持ちになる。
モーントとリムルは、なんとなーくルーヴルナの発する空気を読んで一歩後ろで黙っていた。
そして、微笑ましげに見守っていたジルも気付く。いつのまにかはしゃぐのをやめてジルのとなりに戻ったルーヴルナの、ジルを真っ直ぐに見つめる潤んだ瞳に。
『わたくし、そろそろ貴方の恋人になって差し上げてもよろしくてよ…?』
『この絶好のチャンス、フイにする貴方ではないはずですわ!』
『ムードも満点!いつもならはしゃぎ回るモーントとリムルも空気を読んでいる今の内ですわ!さあ、さあ、さあ!』
潤んだ、期待した瞳にジルはクラクラする。ジル自身、己の気持ちはもちろんルーヴルナの気持ちも気付いていた。
しかし主従関係が邪魔をして、想いを告げることは許されないと思っていた。
けれど、他ならぬ主人が自分を望んでいる。わざわざ、シチュエーションまで整えてチャンスを下さった。
『…もう、自分の気持ちに蓋をする必要はないのか』
そんな結論がジルの心を動かした。
「お嬢様」
「は、はわっ…」
ジルは跪き、ルーヴルナの左手をとる。ルーヴルナは、想い人の一挙一動にドキドキしてしまう。
「私は、お嬢様をお慕いしております」
「…っ!」
わかりきっていた展開。とはいえ、やはり想い人からの告白はとても胸がときめく。ルーヴルナは年頃の乙女なのだ。
「どうか、これからはお嬢様の後ろではなく隣にいさせてください。貴女の恋人となる栄誉を、私にお与えください」
「ジル…」
熱い愛の言葉を貰い、手の甲にキスをされる。やっと念願の、想い人と結ばれる時だ。
「わたくしも…貴方を愛しておりますわ」
「お嬢様っ…」
ジルも、胸が熱くなる。ルーヴルナの気持ちには気付いていた。だが、実際に想いを口にしてそれを受け入れられる…さらには愛の言葉も貰えた。幸福で胸がいっぱいで、苦しいくらいだった。
「永遠の愛と忠誠を誓います」
ジルは誓いの言葉と共に、今度はルーヴルナの左手の薬指にキスを落とす。その仕草に、ルーヴルナはトキメキ過ぎて息をするのも忘れるほどだった。
「ジルっ…」
ルーヴルナはジルに抱きついた。ジルはそんなルーヴルナを受け止めてルーヴルナの服が汚れないよう抱きしめたまま立ち上がる。
嬉しくて嬉しくて、涙を流すルーヴルナ。ジルも目に涙が浮かんでいた。
しばらくそのまま想いが叶った喜びに浸る二人に、モーントとリムルも心からの祝福を送った。
完結まで持ってこられたのは皆様のお陰です。とても楽しい時間をありがとうございました。また
【長編版】病弱で幼い第三王子殿下のお世話係になったら、毎日がすごく楽しくなったお話
や他の完結済みの連載などでもお会い出来たらとても嬉しいです!本当に本当に、お付き合いくださりありがとうございました・:*+.\(( °ω° ))/.:+