成金お嬢様、お茶会をする(前編)
ルーヴルナは、せっかくの着物。ジルとモーント、リムルとのお茶会もすごく楽しく盛り上がったが…他の人とも楽しみたいと思った。
なので。
「勢いで聖王猊下とフルール様とクリスティアン様を呼んでしまいましたわ…」
全員ルーヴルナが大好きだが、ルーヴルナはフルールしか好きではない。勢いだけで生きているとこうなる。
「まあまあ、いいじゃないですかお嬢様!」
「せっかくですから、楽しみましょう」
「お嬢様、きっと楽しいよ!」
「ええ、そうですわね…」
ということで、お茶会の始まりである。
「ルーヴルナ様ー!」
「フルール様ー!」
久しぶりの再会に喜び合うルーヴルナとフルール。一度きりの出会いで、その後はお互いの忙しさから会えなかった二人。しかし仲良くなったのは嘘ではないので、会えばはしゃぎ合うようだ。
「バギーはその後どうですの?」
「毛並みも綺麗になって、体重も戻ったわ!」
「よかったですわ!」
そしてそこにクリスティアンも来た。
「やあ、フルール嬢。俺の女神も、ごきげんよう」
「まあ、ごきげんよう!クリスティアン様ったら、ルーヴルナ様が大好きなのね」
「まあな」
「おほん。…ごきげんよう、クリスティアン様」
ルーヴルナがにっこりと微笑めば、クリスティアンも満足そうに笑う。
「さて、あとは…」
「ルーヴルナ殿!来たぞ!」
聖王ランスロットも、到着したようだ。
即座に臣下の礼をとるクリスティアンとフルール。ルーヴルナもそれに倣おうとしたが、ランスロットから止められる。
「良い良い、ルーヴルナ殿はそんなに気を遣うな。お前たちも楽にして良い」
「…ルーヴルナ、お前本当に聖王猊下に気に入られているんだな」
「そ、そんなことありませんわ」
「そんなことあるぞ!」
「せ、聖王猊下!」
ルーヴルナは分かっていない。聖王ランスロットを呼びつけてお茶会。それも、その誘いにランスロット本人が実にノリノリで乗っかる。それは聖王ランスロットのお気に入りだと自ら喧伝しているようなものである。
…貴族、神官、聖騎士の間ではこれでもかと騒がれているのだ。
「まあまあ、せっかくルーヴルナ様が誘ってくださったのですもの!お茶会を楽しみましょう?」
「そ、そうですわ!それがよろしいですわ!」
「…まあそうだな」
「では、早速茶菓子をいただこう!」
「あ、待ってくださいまし。その前にちょっと、お願いがございますの」
ルーヴルナの言葉に、ランスロットはごきげんになる。
「ルーヴルナ殿の頼みなら叶えよう!」
そんなランスロットにぎょっとするクリスティアンとフルール。いつものランスロットと違うと思うものの、口には出せない。
「では、こちらに着替えていただきたいんですの!」