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成金お嬢様、孤児院の責任者と話す

「ところで、孤児院のこれからの運営について聞きたいんですけれど」


「はい。私が責任者になりました」


「つまりは院長先生、ですわね?」


「ふふ、はい」


ルーヴルナを孤児院に案内した初老の紳士が頷いた。彼は狼の獣人らしい。耳がぴょこんと生えている。ルーヴルナに救われた一人である彼は、ルーヴルナのためにも子供たちを全員愛し育てていく覚悟だ。


「運営の方はどうなりますの?」


「村の大人の中から数人、獣人も人族も問わずに働く者を募りました。私を代表として、数人の大人で子供達を育てていきます。運営資金からお給料をいただきます。福利厚生もしっかりとさせていただきます」


「ええ。いいでしょう」


「子供たちに充分な資金を使って、栄養満点の食事と綺麗な衣服、そして…教育も施すつもりです。教育といっても、読み書き計算を簡単に教える程度が我々の限界ですが…あとは、将来を見据えて色々な資格取得なども応援するつもりです」


「ふむふむ」


悪くはないだろう、とルーヴルナは頷く。


「掃除や洗濯、食事の用意は子供たちと大人で協力してやっていくつもりです。職務放棄ではなく、子供達に生きていくための力を身につけさせる一環としてやります」


「うんうん」


「子供達には規則正しい生活を送っていただきます。夜はしっかり寝て、朝昼晩と食事をとり、お昼寝の時間も設けて、家事と遊びとお勉強…子供たちにとってはなかなか忙しいかもしれませんね」


「でも、前の悪徳孤児院よりマシですわ」


説明を聞く限りまあ悪くないだろうとルーヴルナは頷く。


「では、それでお願いしますわ。それと、ご飯だけでなくおやつの時間にはそちらも食べさせてあげてくださいな」


「あ…そうですね。かしこまりました」


「出来たらお菓子作りも教えて差し上げてね」


「もちろんです」


ルーヴルナはにっこり笑った。資金はルーヴルナの方で賄うし、これなら運営は問題ないだろう。


「ところで…子供達はお風呂に入ったんですわよね?」


「はい」


「…傷は?」


「なかったです。しかし…骨が浮き出るほど痩せ細っていて…あれは完全な虐待です」


「そう…」


既に馬車で証言を得ていたが、やはり幼い子供がそこまで追い詰められていたのは…悲しい。ルーヴルナは目を伏せた。


「…仇討ちはお任せなさい。必ずあの悪徳孤児院をぶっ潰しますわ」


「ええ、お願いします」


「子供たちの心の傷のケアも、よろしくお願いしますわね」


心得たと頷く院長の優しい表情に、ルーヴルナは少し安心した。

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