成金お嬢様、従者とのお茶会を楽しむ
「お嬢様、クッキー美味しい?」
リムルの質問に頷くルーヴルナ。
「ええ、リムルには素質がありますわ」
「えへへ、本当?嬉しいな!」
「あ、お嬢様!教えたのは俺ですよ!」
「ふふ、モーントもさすがですわ」
「ふふん」
そして、ジルに向き直るルーヴルナ。
「でも、わたくしの大好きなココアを淹れてくれたジルにはまだまだ敵いませんわね?」
「えー」
「そんなー」
「この中では一番の古株ですので」
どこか誇らしげなジルにクスクスと笑うルーヴルナ。
「ところで…」
「はい」
「せっかくのお茶会ですもの。三人の好みの異性とか、聞いてみたいですわ!」
ルーヴルナはこれを機にジルの好みをリサーチする気だ。
ルーヴルナはジルの主人とはいえ、貴族とかではない。あくまでも商人の娘だ。だから、ルーヴルナとジルが両思いになれば結婚だって望めるだろう。特に身を引く理由もないので、ルーヴルナはジルと結ばれることを夢見ている。
「そうだなぁ…俺は背の高い女の方が好みですね!あと胸のでかい女!」
「あらそう」
「あ、お嬢様が聞いたのにー!」
モーントの明け透けな物言いに、ルーヴルナはふーんという態度。モーントの抗議もムシである。
「リムルは?」
「僕は可愛い子がいいなぁ」
「まあ!外見も大切ですけれど、中身もちゃんと見て差し上げるんですわよ」
「はーい」
素直なリムルに、にっこり笑うルーヴルナ。
「で、ジルは?」
「私は…人のために尽くすことが出来る人、でしょうか」
その言葉に、どきりとするルーヴルナ。ルーヴルナは鈍感系主人公ではない。まさかまさかとジルを見る。
ジルは、微笑むばかりだった。
ルーヴルナは、ジルに翻弄される。
「では、お嬢様。お嬢様の好みを伺ってもよろしいでしょうか?」
そういって微笑んだジルを、ルーヴルナは真っ直ぐに見られない。目をそらして、言った。
「わ、わたくしを…そばで支えてくれる方かしら」
その言葉に、ジルは瞳を揺らす。けれど、ジルの方から仕掛けることはない。ジルはただ頷いた。
意外と鋭いリムルとモーントはなんとなく二人の間の空気に気付いたが、特にそれに関して突っ込みはしなかった。