表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/58

成金お嬢様、聖王を見送る

「その、な…」


「は、はい…」


何を言われるのかと身構えるルーヴルナに、ランスロットは言った。


「今後もこうして聖女殿とお茶をしたいのだ!」


「はい…?」


思いがけない聖王ランスロットの提案に、ルーヴルナは固まる。


「聖女殿は身も心も清らかで、話をしていてとても気が休まる。聖女殿ともっとお話をしたいのだ!」


とても良い笑顔でそう言うランスロットに、ルーヴルナはあちゃあと思いつつも頷いた。


…頷くしかなかった。


「も、もちろんですわ!」


「それは良かった!時に、このお茶菓子は?やけに美味しいが、初めて食べた」


「あ、それですわね。実は、わたくしの私有地に村があるのですけれど」


「それは知っている」


「そこの村でとれた小麦や豆を使ったお茶菓子ですの。村の者たちが自作したオリジナル商品ですのよ」


ルーヴルナが自信満々にそう言えば、ランスロットは目を輝かせる。


「ほう、それは良いことを聞いた。よし、その菓子を聖王御用達として認定する」


「え」


「聖女殿の村の、村興しになれば良いのだが」


「あ、ありがとうございます。嬉しいですわ」


聖王ランスロットの意外な気遣いに、ルーヴルナは初めてちゃんと感謝した。


「では、これにて失礼する」


「聖王猊下にご足労いただいてしまい申し訳ありませんでしたわ。次はわたくしの方から教会へ参ります」


「ああ、よいぞ。次もこちらから会いに来る。教会には口の軽い者もいる。下手に会話を盗み聞きされると面倒だ」


「あ…わかりましたわ。では、次の機会をお待ちしておりますわ」


心の中ではもう来るなと思いつつも、笑顔でランスロットを送り出すルーヴルナ。そんなルーヴルナに、ランスロットは気を良くして帰っていった。


「…ふう。まさか懐かれるなんて想定外でしたわ」


とはいえ、嫌われるよりはマシだ。実際、今回はランスロットの手助けによって救われた。


「…ただ、これからの立ち回りが余計に面倒ですわね」


ほう…とため息をついたルーヴルナの目の前に、マシュマロの浮かんだココアが差し出される。


「お嬢様、お疲れ様でした」


「ジル」


「よく頑張りましたね」


好きな人に優しく微笑まれて、安堵するルーヴルナ。


「お嬢様、クッキーもありますよ!俺とリムルの手作りです!」


「お嬢様。さっき聖王様とお茶したばっかりだけど、まだ入る?」


モーントとリムルにも声をかけられて、ルーヴルナは頷いた。


「ええ、もちろん食べられますわ。せっかくだから三人とも一緒にお茶にしましょう?お茶というか、ココアだけど」


ルーヴルナの言葉に、三人とも頷いた。


主人と従者のお茶会が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ