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成金お嬢様、義足の調整を見守る

「ということで、わたくしの執事見習いとなるこの子の義足を作ってくださいまし」


ルーヴルナは早速、少年の義足を作るために職人を家に招いた。


「ふむ。では失礼します」


職人のおじいちゃんは、少年の身体つきを確かめる。


「うむうむ。では、早速調整に取り掛かります」


「お願いしますわ」


職人が持ってきた出来合いの義足に、魔法で変形を加えて少しずつ少年の身体にフィットするように調整していく。


「…義足ってこうやって作るんだ」


「魔法が使えない職人の場合一から手作りですが、わしの場合は魔法で調整が効きますので」


「すごいや」


少年は職人の魔法に見入るように前かがみになる。


「こら、ガキンチョ。椅子から落っこちないようにな」


「あ、はーい」


モーントは少々少年に過保護らしい。それは、奴隷時代の記憶のせいかもしれない。


モーントは、周りの獣人が皆奴隷にされ身体が欠損している姿を見てきた。


少年の今の姿に思うところはあるのだ。


「…よし、調整第一段階終了です。ちょっと着けてみてください」


「はい!」


少年が義足をつける。


「歩いてみてください。なにか、違和感などがあれば遠慮なく」


「うん…うわぁ、歩ける!ねえ、お姉さん、みてみて!」


「ええ、とても立派ですわ!具合はどうですの?」


「違和感とかは特にないかな。着けてても全然痛くもないし」


「まあ!職人さんは本当に腕が良いのね」


ルーヴルナが褒めれば、職人は照れたように笑う。


「そう言っていただければありがたいです。では、第二段階の調整に入ります。一旦義足を外していただけますか?」


「はーい」


少年は職人に義足を返す。職人は、少年の肌をよく観察する。


「?」


「義足とわからないくらいの完成度の義足にさせていただきます。肉感や肌の色などを再現した義足を作り上げましょう」


「え、そんなことできるの!?すごーい!」


ぱっと明るい表情を見せる少年に、ルーヴルナは笑う。


「ふふ、はしゃぎすぎですわ!」


「だって本当にすごいんだもん!」


「はは、ありがとうございます」


職人も満更でもない様子だ。


「…ふむ。よし、出来ました。では、どうぞ」


「うん、ありがとう!」


少年はまた義足を着けてみる。すると、まるで本物の足のようにフィットした。


「まあ!とっても素敵ですわ。ほら、こちらに来て鏡を見てみなさいな」


「うん!」


少年は嬉々として全身鏡を見る。


「わあ…!本当に足が戻ったみたい!おじいちゃん、ありがとう!本当に嬉しい!」


「お役に立ててなによりです。ただ、成長過程ですからすぐにサイズが合わなくなるでしょう。たまにメンテナンスをさせてもらっても?」


「もちろんお願い致しますわ。では、今日はありがとうございました」


ルーヴルナは職人を労い、ジルがルーヴルナのお小遣いから代金を支払う。


こうして少年は、新たな足を手に入れた。

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