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成金お嬢様、バギーを探す

「それでしたら、お茶会なんてしている場合ではございませんわ!」


「ルーヴルナ様?」


「ペットのバギーは、大切な家族なのでしょう?わたくし、フルール様の代わりに探してきて差し上げますわ!」


どうやらルーヴルナとフルールも、ペットのバギーが居なくなったことを話していたらしい。


ルーヴルナはバギーを探してくると息巻いている。


「で、でも…いいのかしら」


「いいに決まっていますわ!」


「では、私も行くわ!いいでしょう?」


ルーヴルナはちらりとジルとモーント、フルールの執事を見る。


三人は顔を見合わせてから、ルーヴルナに頷いた。


「では、みんなでバギーを探しますわよ!」


「ええ!」


ということで、予定は変更されて急遽お茶会をやめてバギーを捜索することになった。













「やっぱり、見つからないわね…」


「数日経っているなら、遠くに行ってしまったのかしら…でも、フルール様。呼びかけ続けたら帰ってくるかもしれませんわ!」


「そうかしら…」


「ええ、きっと!」


ルーヴルナとフルールは、長い時間をかけてバギーを探した。しかし見つからない。


だが、ルーヴルナが諦めることはなかった。そんなルーヴルナを見て、フルールももう一度声を張り上げた。


「バギー!いるなら帰ってきて!バギー!」


その時だった。


「ばうっ!ばうっ!」


「…!!!」


「バギー、いるならこちらにきて!」


「ばうっ!ばうっ!」


痩せ細り、薄汚れた姿の犬が現れた。だが、どんなに変わろうとフルールには一目でわかる。


「ああ…バギー、バギー!」


「ばうっ!」


尻尾をちぎれんばかりに振って、フルールに甘えるバギー。フルールは、自分のドレスが汚れるのにも構わずバギーを優しく抱きしめた。


「ばうっ」


バギーは、しばらくするとフルールの手を抜け背中を見せた。


「あ、待ってバギー!お屋敷に帰りましょう!」


「ばうっ」


「…待ってくださいまし、フルール様。バギーはフルール様をお連れしたい場所があるのかも」


「え?」


「ついていってみませんこと?」


フルールは、付いて来いと言わんばかりにこちらを伺っているバギーの様子を見てルーヴルナに頷いた。


「わかったわ!行ってみましょう!」


ルーヴルナとフルールは、バギーの後ろをついていくことにした。


後ろで心配そうにその背中を見つめている使用人三人には気付くことはなかった。

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