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成金お嬢様、感動される

「まあ、貴女は心も綺麗なのね!失言だったわ。失礼しました。どうか、許してくださる?」


フルールの言葉に、一瞬ルーヴルナは驚いた。貴族、それも公爵家の姫君がここまで心が広いとは。


「…あ、え、ええ。こちらこそ偉そうなことを言って申し訳ありませんでしたわ。ありがとうございます」


「偉そうだなんて!使用人のために声を上げることが出来るのは素敵なことだわ!」


なんだこの姫君は。天使か。ルーヴルナがそう思っていたら、突然その天使に手を握られた。


「さあ、こちらにいらして!お茶会を始めましょう?」


「え、ええ。わかりましたわ、ですからそんなに引っ張らないでくださいまし!」


「いいからいいから!」


ルーヴルナの手を引いて、庭の東屋に向かって駆け出すフルール。


ルーヴルナも、困った様子だが嫌がる気配はない。


ジルとモーントは、なんとかなりそうだとほっと息をついてルーヴルナの背中を追った。


「今日の紅茶はとても香り高いものを選んでみたの!紅茶はお好きかしら?」


「ええ、それなりに嗜んでおりますわ」


「では、早速飲んでみてくださいな。あ、お菓子も秘蔵のコレクションから選びましたのよ!ぜひ召し上がって!」


「では、お言葉に甘えて。…まあ!芳しいですわ!…うん、美味しい。まるで、咲いたばかりの花のような香りですわね」


「ええ!すごく美味しいでしょう?我が寮内で取れた茶葉ですのよ!」


紅茶のおかげもあり、フルールの押しの強さもあってルーヴルナはすっかりとフルールと打ち解けていた。


そんなルーヴルナを見て、ジルとモーントはこっそりと顔を見合わせる。


「よかった、お嬢様楽しそうだな」


「そうですね。心配でしたが、なんとかなりそうでよかった」


そこに、フルールの執事が近寄ってきた。


「この度はうちのお嬢様が、ご無理を言ってすみませんでした」


「え?いえいえ、俺たちはなにも…」


「お嬢様は、公爵家の姫君であらせられる。故にこそ色々と縛られることも多く、ルーヴルナ様の自由なお姿に心を惹かれたようでして。急に会いたいなどと、ルーヴルナ様にもお二人にもご迷惑をおかけして申し訳なく思っております」


執事の丁寧な対応に、ジルとモーントはこちらこそと頭を下げる。


「ですが、最近塞ぎがちだったお嬢様がこんなにも楽しそうになさっているのを見て安心致しました。ルーヴルナ様にもお二人にも、私ども公爵家の使用人一同心から感謝しております」


「…塞ぎがちだった、ですか」


「そうだったんですね」


「ええ。お嬢様の飼っていたペットのバギーが屋敷を抜け出してしまいまして…ふらっと帰ってきてくれるといいのですが」


「それは…見つかるといいですね」


ジルの言葉に、ありがとうございますと頭を下げる執事。


ジルとモーントが再びルーヴルナたちの方に目をやると、ルーヴルナが椅子から立ち上がったところだった。

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