成金お嬢様、名声が勝手に上がる
西の海の向こうの孤島。内乱が起きた小さなその国では、内乱が収まり新政府が樹立した今でも混乱が続いていた。
しかし、そこに一筋の光が差す。
ルーヴルナという、大陸でも最も大きな国の商人の娘が援助をしてくれたのだ。
「水や食料を現物支給してくれるなんて、なんて有り難いんだ…!」
「爆弾や地雷などの探知、除去もしてくれているぞ!」
「爆弾や地雷の除去が終わったら、瓦礫の除去や崩壊した建物の解体もしてくれるって…!」
これだけでも〝ルーヴルナお嬢様〟の名声は瞬く間に広がっていったのだが、極め付けはこれだった。
「ルーヴルナお嬢様が、職を失った貧しい人々に限定して特別な融資をしてくださるそうよ!」
「なんだって!?」
「新しく商売を始めるための元手になるお金を融資してくれるって!無利子無担保で、将来どれだけ掛かっても返してさえくれればいいという形だそうよ!」
「こりゃあすげぇ!」
人々は、融資を受けるために手続きをしようと群がった。そして大抵の人は融資を受けることが出来たという。
融資を受けられなかったのは、あまりにも計画性がないやばい経営案を示した者か、裏社会との繋がりが垣間見える者だけだった。
もちろんすぐに全てが復興する、というのは無理だった。だが、食料や飲み水の確保、危ないものの除去、新しい商売のための融資などで確実に人々は助けられていた。
数年後には、見事に復興を果たし国全体でルーヴルナを称えたという。
…まあその頃には聖王から逃げ回る必要もなくなっていたので、骨折り損のくたびれもうけでしたわ!と心の中で荒ぶるルーヴルナだったが。




