成金お嬢様、名案を思いつく
「でも、あの…わたくしにとって、必要なことなんですの」
「お嬢様…」
上手い説得文句が思いつかないルーヴルナだが、なんとか捻り出した。
「あ、そうですわ!」
「…なんです、お嬢様。無理は絶対させませんからね」
「それですわ!」
「え?」
良いことを思いついた、と手を叩くルーヴルナにジルとモーントは不思議そうな表情を浮かべた。
一方でルーヴルナは、自信満々に言った。
「わたくしが無理をしなければいいのですわ!そうですわよね?」
「ええ、まあ」
「そうですよ、お嬢様!」
「でしたら、ジルとモーントにお願いがありますの」
ルーヴルナは、ジルとモーントに言い放った。
「わたくしのお小遣いを全て二人に預けますわ。わたくしの名前を使い、わたくしのお小遣いや貯金を使って、西の海の向こうの孤島の復興をお手伝いなさい」
「え!?」
「お嬢様、いくらなんでもそれは…」
あまりにもジルとモーントを手放しで信用し過ぎだ。だが。
「ジルとモーントになら安心して任せられますわね!ああ、最初から二人に頼ればよかったのですわ!なぜ今まで気付かなかったのかしら!」
そう言って安心したような表情を浮かべたルーヴルナに、ジルとモーントはもう何も言えない。
「ふふ。きっとジルとモーントの手にかかれば、素晴らしい復興を遂げますわね!」
そして、みんながわたくしに感謝する理想の国の出来上がりですわ!…なんて考えているのだが、ジルとモーントは当然そんな考えは知らない。
遠い国の内乱に心を痛め、手放しで自分達を信用し復興の手伝いをしてこいとお金を預けるお人好しの主人。
そこまで頼られるのであれば、やらないわけにはいかなかった。
「…全力を尽くします」
「お任せください、お嬢様!」
「ええ、頼りにしておりますわ!」
かくしてジルとモーントは〝内乱からの国の復興〟…その手助けを、ルーヴルナに預けられたお金をフル活用してどうにかやっていかねばならなくなった。