#3(1章) 襲撃
「たとえ世界の端がスタートラインでも......!」#3です!
異世界に転移してしまったジョージは――!?
ここは、どこだ?
見覚えのない田園風景、見覚えのない個室。俺はあれから、どうなったのか。何も分からない......いつものように、帰宅しようとしていただけだったのだが......
ここにいても埒が明かない。俺はひとまず、この部屋を出てみることにした。部屋のドアは簡単に開いた。鍵はかかっていなかったのだ。どうやら、俺が閉じ込められていた部屋は大きな一軒家の一室だったようだ。
外に出てみよう。俺はそう思い立つと、部屋のあった二階から玄関へと向かった。玄関を開くと、さっき見た田園風景が、まるでこの地の果てまで続くかのように佇んでいた。
訳が分からない。俺の家の近くに、こんな場所はなかったはずだ。ならば、ここはどこなんだ? 何も理解できずにただ呆然と遠くを見つめていると、近くからうめき声が鳴った。
「ヴゥゥゥゥ......」
まるで化け物のような、殺気に満ち溢れている音だ。俺は思わず、鳥肌が立ち、後ろを向いた。
なんてことだ。目の前には、見たこともないような、豚に近い腐った動物がいるではないか。そしてそれは、今丁度俺を襲おうとしているのだ。
「おい、待つんだ。落ち着いてくれ!」
俺はそう言った。言葉などが通ずるはずもないが......
間もなく、それは俺をめがけて突進してきた。
「マズい!」
俺は即座に避けることに成功したが、豚はなお近づいてくる。
このままでは殺されてしまう! そう思い、俺は近くに武器はないか見渡した。見ると、俺の足元には斧が落ちていた。
俺はそれを持ち上げ、応戦しようとした。斧というのは一見軽そうに見えて、実はこうも重いことを知ったのは今の話。
それはまた、俺をめがけて突進してきた。俺は斧を振りかざすと、それの体を二分するように斧は切ってくれた。
しかし、ここで安堵してはいけなかった。それは驚異的な回復能力を持っていたのだ。それは、俺が斧で切断した面を瞬間的につなぎ合わせた。
「なぜだ」
こんなもの、俺は生涯一度も見たことなかったし、この世界にこんなものがあったものかと目を疑わせた。
そんな事考えている間に、俺はそれを見失ってしまった。くそっ、どこだ!? 当たりにはいないようだ。と、思った矢先だった。後ろから影が伸びている......
後ろを見ると、それは襲いかかってきた。俺はそれに馬乗りになられ、何とか斧で接触を防いだ。しかし、それの力はとても強く、人間には叶いようなかった。
俺の生命もいよいよここまでか――。そう思って、俺はゆっくりと目を瞑った。
その時だった、大きな銃撃音がしたのだ。
「あれ、生きてる......」
先程のそれは、ぐったりと血を流し倒れていた。何が起こったのだ。誰が銃を売ったのだ。わからないことが多すぎて混乱していると、上の方から声が聞こえた。
「お前は、死にたいのか!?」
誰だ!? そう思い、辺りを見渡した。すると、近くの丘の上に誰かが立っている。そう思うとそいつは、こちらに接近してきた。
「武器も持たずに、何外をうろついていたのだ?」そいつは怒鳴るように言ってきた。
「え、あなたは誰でしょうか」
「申し遅れた、俺はシャルルという」
「あ、そうなんですか、僕はデイビーズ・ジョージと言います」
「ジョージ? お前の名前はハリーと聞いていたのだが」なぜだ? 俺の名前はジョージであるが......
「人違いじゃないですか?」
「いや、ここの住人はデイビーズ・ハリーのはずだし、顔写真も一致している......」
「さっきから何を仰っているのですか!」わからないことが多すぎた。俺は混乱して、そう叫ぶように言った。
「すまんすまん。俺の身分はやはり先に明かしておいたほうが良さそうだ」
「俺は調査員なのだ。この地域の様子を視察しに来た。どうやらこの家にはお前一人が暮らしていると聞いたから、こんなご時世だし生存確認だけしておきたかったのだ」
「生存確認......? 一体何を言っているのですか?」身分を明かされても言っていることがわからない。
「お前、この地域は防御もしっかりとしてないからいつサモンズに襲われるかわからないからな」
「サモンズ? やはり一体先程から何を......?」
「お前正気か!? 今世界はサモンズによって支配されつつある! 報道を見ていないのか!?」
「すみません、やはり意味がわかりません。私は家に帰っていただけだったのですが、途中で意識を失って......」
俺は今までのことを正直に全て話した。
「お前、そんな事があったのか。......だが、一つ悲しい知らせがある。この世界は――」
「え、何ですか」
「この世界は、おそらくお前の世界とは違う、『パラレルワールド』だ」
「『パラレルワールド』って何ですか」
「『パラレルワールド』はもう一つの世界。つまり、お前が生きていた地球と同じ、もう一つの地球というわけだ」
「何かよくわかんないけど......ってまさか! 俺は異世界に来てしまったということですか?」
「つまり、そういうことだ」
何ということだ。俺はどうやら、異世界に来てしまったみたいだ。信じられないが、周囲の状況を見る限りこれは本当のようだ。いつもどおり生活をしていただけだったのに......
「まあそう落ち込むな。お前を現実世界に戻すの、俺も手伝ってやるよ」
「え、帰り方知ってるんですか!?」
「一応、実際はどうか知らんが」
「じゃあ、早く返してくださいよ!」
「まあちょっと待て、その方法を使えば元の時間に帰れるのだ。それに、ただで協力するとは言っていない」
「え、どうしてですか」
「一つ、聞いて欲しい話がある」
「早くしてくださいよ!」
「これを聞いて、俺の計画に協力するって言うんならお前を元の世界に戻してやる」
今回も読んでいただきありがとうございました!
次回は「真実」を明かします!ぜひご覧ください!(4/13 7:00投稿)