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6話 学校での一コマ

 さて、本日は金曜日。

 世間ではこの日を待ち望んでいる者も多いのではないだろうか。

 テレビをつけ、天気予報や食レポを見ながら、俺はそんなことを思う。

 ぽけーっとテレビを見ていると、次のコーナーに入り、俳優の男性が家事に挑戦する特集の時間に入った。


「家政婦…か」


 それを見ていたからか、昨日の出来事を思い出す。それが、あまりにも突拍子のないことで、未だに実感が湧いてこない。

 同級生の家政婦になるなんて誰が予想出来るだろうか。


「って、もう時間か」


 まだ頭の中は整理できていないが、時間が無いことに気づき、家を出ることにする。


 ◇


 いつもの通学路を通り学校へと到着した俺は、上履きに履き替え、自分のクラスへと向かい席に着席する。


(8時か、少し寝るか…)


 和樹のように普段から喋るような親しい友人がいない俺は、HRまで寝ようと決めて、机に顔を伏して目を閉じる。


「ーーなーい」


(ん?)


「ーきなーい!」


(うるせぇ……)


「起きろ!!」


「はぁい!!」

(え!なに!?なんかあった!?)


 耳につん裂くような声が聞こえ、何かあったのかと周囲を見渡してみるも、皆楽しそうに会話をしている。

 

 ただ一人を除いて。


 つん裂くような声の主の正体を察した俺は、はぁ……と深い息を吐く。


「なんだ…香か…」

「なんだとは何よ失礼ね!!」


 このプンスカ怒っているのは、友人(?)の飯倉香。

 茶髪で垂れ目身長は平均ちょい下ぐらいで顔もかなり整っている。黙っていれば完璧な女だ。


「ほら香、圭も起きたんだから、そんなに怒っちゃダメだよ」


「和樹…」


 俺と香の間に和樹が入ってくる。


「はぁ…お前もちゃんと彼女の手綱ぐらい握っとけよな……」


「あんたねぇ!和樹もこいつを甘やかしたらダメ!」


 流石に彼氏がすぐ隣にいるからだろう。

 いつもは俺の頭をぶん殴ってくる香が、今日は机を蹴るだけに留めてくれた。

 おぉ、和樹様ありがたやありがたやー。あと今更だが、この二人は付き合っている。


「まったく…」


「ほら香そんなに怒ったら可愛い顔が台無しだよ?」


「もう…」


 怒っている香を落ち着かせる為に、和樹が笑いながら香の頭を撫でる。そんな和樹に文句を垂れつつも甘えるような仕草をする香。


(えー、ここでイチャつくなよ……)


 さっきまでのピリピリした空気は何処へやら。

 いつの間にか甘ったるい雰囲気が教室中を漂っていた。

 クラス連中の視線がこちらに向く。

 その視線和樹達を捉えて、またコイツらか、という雰囲気が流れはじめる。


 これはついでに言っておくことだが、俺は香を下の名前で呼んでいる。それは、俺達が幼馴染だからだ。


 まぁそんな情報はさておき、いつまでもここでイチャイチャされるのは困る。主に周りの視線が集まるから。


「で、何の用だ?」


 この空気を終わらせる為に口を動かす。すると、香はハッとしたような顔をさせてこちらを見下げてくる。


「そうだった。あんた今日の放課後って空いてる?」


「?あぁ…」


 なんだ?突然。俺の言葉を聞くと言質を取ったと言わんばかりに、香が目を輝かせる。

 なんだか嫌な予感が……。


「今日、生徒会の雑務があるのよ。和樹は部活がお休みで手伝ってくれるんだけど、人が多ければ多い程作業も早く終わるじゃない?ってなわけであんたも手伝ってよ」


 はい、嫌な予感的中。


「俺に用事があるとは思わないのか?」


「「思わない(ね)」」


「お前ら……」


 コイツら息ピッタリすぎるだろ。そんなに俺は暇に見えるのか?


「あんたっていつも放課後になったらすぐ帰ってるんでしょ?和樹から聞いたわよ」


 和樹を軽く睨むが、奴は視線を明後日の方向へ向け、目を合わせようとしない。


「おい、顔を見ろ」


「はぁ、放課後のSHR終わったら生徒会室前に集合ね」


「あ、おい、話はまだ…って」


 勝手なことを言う香に抗議をするために呼び止めようとしたら、おもむろに腕を組み2人だけの空間を作りながら自分の席へと移動していった。

 思わず頬が引き攣ってしまう。もう少し人のことを考えられないものだろうか、奴等は。


(……はぁ、ま、いいか)


 本来の予定なら、放課後には家に帰って趣味の料理作りなんかをして写真を投稿サイトにアップロードしようと思っていたが、たまにはこういう日があってもいいだろうと、そう思うことにした。


 その時、俺はこちらを見ている少女の視線に気づかなかった。


 



 

部活忙スウィー

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