7.仲良し作戦
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デイブが来てからしばらく経った。私は朝からデイヴに声をかけることを日課にしている。
「デイヴおはよう! 今日もいい天気だね! 一緒に庭を散歩とかどうかな?」
「は? 行くわけないじゃん」
「じゃあ行こっか!!」
返事はつれないものだったがデイヴの手を引っ張り外に連れ出す。荒療治はしたくなかったのだがこうでもしないと絶対に外に出てくれないのだからしょうがない。
「見て! この黒い薔薇は私が育ててるのよ!
綺麗でしょ?」
「どうりで不気味な薔薇なわけだ」
「もう!照れちゃって!」
「別に照れてないし!」
言い争っていたところ、近くに人影が見えた。
「あら、仲良く2人で散歩かしら?」
見上げるとお母様がいた。まずい今の会話を聞かれていたかもしれない。
「何か言い争っていたように聞こえたけどなんの話をしていたの?」
「この薔薇の美しさについて語り合っていたの! 白熱しすぎてつい大きな声になっちゃった! ね?デイヴ?」
お母様に見えないようにデイヴに向かってウィンクをする。ん? 今少しいやな顔をされた? 気のせいか。
「そうなんです。つい大きな声を出してしまって……すみません夫人」
「いえ、いいのよ。そろそろ用事があるから行くわね。じゃあ2人仲良く、ね?」
「行ってらっしゃいお母様」
よかった。なんとか誤魔化せたわ。
「デイヴ次は追いかけっこでもしましょうか? 私足には自信があるのよ」
デイヴの手を握ると少し冷たくなっていて顔を見てみると少し顔色が悪くなっているような気がした。
「デイヴ気分でも悪くなった? もう帰りましょうか。部屋まで歩ける?」
「……歩けない」
大変! 相当具合が悪いんだわ!
「わかった。おんぶして運ぶから私の背に乗って?」
「いや、女の子の背になんて乗らないから!」
「そうよね……たしかに絵面が悪いものね」
「そういう問題じゃないから!」
え? てか、さりげなく私のこと「お前」じゃなくて「女の子」って呼んでくれてる! これ昇格よね!? 嬉しい!
「でも歩けないんでしょう?」
「いや、もう歩けるから部屋に帰る」
「肩かそうか?」
「ついてくるな!」
ついてくるなと言われたら、ついていくしかないよね! 気づかれないようにそっとデイヴの後を追いかける。
デイヴの顔色はさっきよりは良くなった気がするけどまだ良くなってはいない。しかも隈までできていた。あまり眠れていないのかな。全然気が付かなかった。
よし! 今日の夜はアレを作って持っていこう。
「デイヴ今日の夕食の後、部屋に行ってもいい?」
返事はなかった。ついて来ていたのがばれないように離れた距離から声を掛けたので聞こえなかったのかもしれない。
「デイヴ今日の夕食の後、部屋に行ってもいーい?」
5倍くらいの音量で言ってみると流石に聞こえたようで「わかったよ!」と同じく5倍くらいの音量で返された。まさか許可が下りるとは思っていなかった。心の距離が縮まったような気がした。
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