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自称狩人の非日常  作者: しにぐりん
2 臥した竜は天へと昇る
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2-14 空を駆けて穴を縫う

 ヴィズは飛んでくる水の塊をとっさに避ける。


「とんだ挨拶ね。」

「あら?くノ一さんまた来たの?また死にたくなった?」


 巫女服を纏ったリルは私を挑発してくる。巫女らしく清楚にしてなさいよ。


「今回はお仲間さんもいるのね。それも早打ちさんかな?」

「始めましてね。早打ちのフェリエよ。私は付き添いだから、用があるのはそっちよ。」

「さっきはMPが足らなかったけど、次は倒してやるわ!」

「威勢が良いわね。負け犬の遠吠えかしら?」

「その減らず口もいつまで持つかしらね。」


 フェリエは少し下がって防御魔法で巻き込まれないようにしている。ここからは私だけの戦いとなる。


〈闘気〉

〈剛力〉

〈身軽〉

〈軽量〉

〈アクロバット〉


 私は身体が軽くなるのと同時に身体能力が上昇するのを感じる。

 飛んでくる水の弾幕を立体的な動きで躱しつつ、リルに近づく。木や崖などの地形を利用した人によっては目を回すかもしれないこの動きは私の最も得意とする戦闘スタイルである。


〈発勁〉


 相手に力を伝えることだけに特化したこのアーツは最大強化した今なら大型動物でも吹き飛ばすことが容易だ。

 しかしリルから返ってきた感触は力が逃がされたかのような柔らかい感触だった。勿論リルがダメージを受けた様子はない。


「ヴィズ。相手が悪いわ。私も手を出して良いかしら?」

「……仕方ないわね。」


 本当なら一人でやりたがったが、物理攻撃を逃がす能力があるなら私だけでは無理になる。それにどういう能力なのかはフェリエは分かっているのだろう。


「リルの能力は水の操作よ。そして体表に水を纏う事によって衝撃を和らげているのよ。」

「それじゃあ私は何も出来ないじゃないか!」

「水を剥がせば良いのよ。結局魔力は減っている筈だから攻撃を繰り返せば水は少なくなっていくはずよ。」

「なるほどね。なら援護してよ。私を気にしないで撃って。」


 私は再びリルに向かっていく。


「懲りないわね。あなたの攻撃は効かないわよ。」


 リルの攻撃も鋭くなり数が増える。数が増えた分水の大きさは小さくなり見づらくなる。

 常人なら穴だらけになりそうな攻撃だが、私はその範疇ではない。


 私は飛んでくる水の大きさと位置を認識して、隙間を抜ける。


〈空歩〉


 さらには空中に足をついて軌道を変え、隙間に入り込む。

 私の完璧な位置把握能力による高次元回避術である。2mmの弾丸すらも把握しきるのだからそれよりも大きい水を避けることは朝飯前だ。


 弾幕とまではいかないまでもかなり多くの水を避けて私はリルの周りの水を削っていく。

 さすがに飛沫となった水は操れないみたいで霧散する事になる。

 さらにはフェリエの土魔法によって水が吸収されてリルの水は大きく量を減らしていった。勿論私はフェリエの魔法も把握するので当たることはない。


「舐めた真似してくれるね?」


 リルは水魔法を使って周りの水を再生させる。水の生成はさらに続いて水球にも見えるほどの量の水がリルの周囲を漂い始めた。


「私も本気でいこうかな?」


「おっと、この量は厳しいかもね。どうするのヴィズ?」

「まぁやるしかないでしょ!」

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