2-8 孤高の侍は刀を抜く
事情により不定期投稿になります。
盛り上がりに差し掛かっていますが、御了承下さい。
ケンが何故ここにいる?隠れ家が近くなのか?
まぁいい。取りあえず急いでナツメの鳳珠を潰しにいかないとな。紗霧がナツメを倒す前にな。
ケンは紗霧が俺のチームだと知っているはずだ。てことはナツメを脱落させようとしていることも気づいている。それなら2対1で紗霧が攻められることは無いだろう。それならここは紗霧に任せられる。
俺は先を急ぐ。
◇
紗霧は状況を見つめ直していた。
ナツメさんだけなら一人でも何とかなる可能性はある。しかしケンさんと三つ巴になればどうなるかは分からない。混戦になればシンのサポートさえ期待できなくなる。なら一旦退くのか?
「話題の剣士2人と会えるとは驚きです。」
「実は俺もあなたに会いたくてね。西の仙人、だったか?」
私のことも知っているということは、戦わざるを得ないということですね。
私は現時点最強角の2人と戦う覚悟を決めた。
私は昔からゲームが好きだった。家が裕福な家庭だった為か小さい頃から買って貰うことが出来た。一人っ子で人見知りなせいで友達も碌にいなかった私はゲームにのめり込んだ。
ずっと遊んでた。ただクリアする事を目的にして、一人で。
ずっとゲームをしていた私はトップレベルの実力を持っていた。いつの間にか知り合いも増えていた。嬉しかった。初めてまともな友達が出来たと思ったよ。でもそれは私ではなく私の実力について来ただけだった。
それはそうだ。今まで作れなかったものをそう簡単に作れるわけがない。偽物というわけではないが、私が欲しかったものではなかった。
それ以来さらにソロプレイは加速し、遂には日本一に輝いたことさえある。それがなんだというのか?私が期待していたものは得ることが出来なかった。
UNOはなんとなく始めたゲームだった。のんびり遊べるかな、程度で始めただけだ。
そこでたまたま知り合った5人。この5人であれば"本物"に成り得るんじゃないかって、そう思った。実力目当てなんて言葉で片付けられるようなそんな人達ではない。なんなら私の力を借りずとも十分な5人だと思う。
「付き合いづらい。」
「口数が少ない。」
「空気が読めない。」
何度言われたことか。そんな言葉一つすらなく私が話しやすいように気を使ってくれているのが分かる。
もし一緒にいられたら、戦えたら、笑いあえたら、遊びあえたら。
想いは加速しながらも焦りもあった。このパーティーはイベント限定のものだ。終われば解散。ただそれだけ。それだけの予定だった。
でもオフ会という初めてでありながら最も求めていたかもしれないイベントが訪れることになった。祝勝会ということだ。つまり勝たないと行われない。
そう。私は勝つ必要がある。ただそれだけの結論に至った。
「朱剣。邪魔しないでくれるか?私達は予定があるんだ。」
「ちょうど良いから両方潰しておこうと思ったんだけど、2人を捌くのは流石に厳しいかもね。仙人さんは倒してもリスポーンするし、君からやろうかな。」
「何を言っているんだ?私もリスポーンするぞ。」
「うーん。それはどうだろう。」
「まさか!」
「背中を見せると危ないぞ。」
「くっ!」
「一人で歩き回るのが悪いだろう?」
「別に他のメンバーが弱いわけではない。お前がここにいるなら問題無いだろう。」
ケンさんは私と戦う気は無いのか?それにシンが向かっていることも知っている?目的がはっきりしないな。
「まぁ向かっているのはそちらのお仲間だけどな。」
「早打ちか!?」
ナツメさんは勘違いしているが、ケンさんは全て知っているみたいだ。
「そこでだ。俺もお前との決着が残っている。てことで俺が彼女を止めてやる。だから帰ってやれ。」
ケンさんが私に剣を向ける。
「な、何のまねだ?」
「ここで脱落して貰うと困るんでね。」
「ふん!感謝はしておこう。」
ナツメさんは走り去る。
「さて、始めようか。」
「ええ、始めましょう。」




