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自称狩人の非日常  作者: しにぐりん
2 臥した竜は天へと昇る
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2-5 狩人のお散歩

 シンは木の上で息を潜めていた。

 さて、他チームの隠れ家を見つけたけどどうしようか。普通に乗り込んだら負けるんだよな。6人相手に弓1人は正気じゃないね。

 俺たちと同じく洞窟であり、2人が入り口で見張りをしている。自らは動かない作戦をとっているのか中に人がいないのかは判別できない。


 迷っていても仕方ないな。見張りはとりあえずやるか。

 俺は矢を上に向かって放ち、続けてその少し下に放つ。


〈曲射〉


 放たれた2本の矢は2人の死角となる上方から同時に突き刺さる。時間差かつ軌道を変えることで同時に着弾する弓のテクニックである。

 もちろん矢が1本刺さったところで死ぬプレイヤーはいない。魔法を付与でもすれば死ぬこともあるが、MPが勿体ないので出来てもやらない。

 気配を消した状態で近づき、〈ステップ〉で距離を詰める。回避で使うのがメインの〈ステップ〉であるが、超短距離ならば速度を上げることにも使えるのだ。

 そして矢に気を取られている間に首を落とす。リアルに出来ているとはいえ全年齢対象なので、血が吹き出すなんてグロいことは起こらないので安心して欲しい。


 これで〈認識吸収〉の効果で自身の隠密度が上昇する。さらに洞窟内ならば〈影同化〉も発動する。

 服の性能に期待して中に入ってみることにした。中はそれなりの広さがあって残りの4人全員が座って雑談をしており、奥には鳳珠が置いてある。

 どうやら全く気付いていないようだ。不用心なことこの上ないが、俺たちのチームが用心深いだけなのかもしれない。

 今回は4人かつ室内なので影魔法で決着をつける。


〈シャドウバインド〉


 暗い場所だと影魔法が強化されるので4発同時に使うことが出来る。不意に地面から生えた影によって為す術なく拘束されていく。後は首を狩りきるだけだ。

 ちなみになぜ首かというと死亡までの時間が一番速いからである。心臓だと少しラグがある。眉間を抜いても同じくらいの時間だが、頸椎より頭蓋骨の方が硬いので首にしている。

 全員が倒れたら鳳珠を砕いて終わらせる、と思ったが、イベントですぐに脱落してしまうのは可哀想だなと思ったので止めておくことにした。また戦うことになればポイントは美味しいので悪くない判断だと思う。リスキルや周回は観戦勢に叩かれるのでやらないけどね。プレイヤー名公表されてるんでね。


 というわけでそのまま3チームはしごしてから自らの隠れ家に戻る。合計19ポイント。開始2時間だが悪くはないだろう。


「戻ったぞ。」

「おかえり。どうだった?」

「近くに強者はいなそうだったな。4チームやってきた。」

「そうみたいね。ポイント見る限り鳳珠は壊さなかったのね。」

「流石に可哀想だろ?顔も見られてないし良いかなと。」

「良い判断よ。残しておけば何かに使えるかもしれないし。」


 フェリエが悪い顔をしているが気にしないでおこう。


「ところで2人はまだなのか?」

「あの二人は探索に出た訳じゃないから。」

「…なるほどね。なら帰って来ないかもな。」


 死ぬまで帰って来ないということだろう。


「夜には帰ってくるから大丈夫よ。」

「それは……どうだろう?」


 確かに〈暗視〉や〈夜目〉を持っていないので苦手ではあるだろう。しかし、ヴィズは昼の内に地形を覚えておけば見えなくても問題ないだろう。紗霧も〈気配感知〉があるので大丈夫そうな気がする。…俺は考えるのを止めた。


 カズラ君は〈同調〉してるみたいで集中している。その索敵のお蔭で警戒されずに俺が隠れ家内に帰ってこれるので非常にありがたい。

 フェリエは俺やカズラ君からの情報をまとめて作戦を練っているようだ。

 ムールはやることが無くて暇そうだな。


「ムール、暇してるのか?」

「そりゃね。お客さん来ねーかな。」

「良い接客出来るのか?」

「接客のプロと呼んでくれよ。」

「そりゃいいな。」


 どうやら防衛もぬかりは無さそうだ。俺も探索が終わって暇だから少しムールとお話してようかね。

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