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自称狩人の非日常  作者: しにぐりん
1 技能と異能と個性と
33/49

1-31 弓の新調

 探索継続を不可能と結論付けた俺たちはイベント当日までは解散となった。

 というわけで別れてから俺は鍛冶師のマッシュと連絡をとって会うことになった。


「それで何でお前がいるんだ?」

「良いじゃない。パーティーってことで。」


 隣にいるヴィズが答える。

 別に2人でパーティー組んでも良いんだけどさ。ソロだとキツいことは多いしね。それに可愛い女の子が隣にいると華があるというか、目の保養になるというか。口が裂けてもこんな事は言えないが。



 パスルの露天商エリアでマッシュと落ち合う。


「パスルに来てたんだ?」

「生産は北より南の方がやりやすいって生産職の間では常識ですよ?」

「へぇ。知らなかったな。」

「それでそちらは?」

「一緒に行動してるヴィズだ。」

「よろしくね。」


 二人はフレンドを交換したようだ。


「よろしく!で?何の用ですか?」

「ああ、新しい金属を見つけたから専門職に聞こうと思ってな。」

「お!良いですね。」


 俺はアルミニウムの原鉱石であるボーキサイトを取り出す。


「アルミですか!装備にするなら合金ですよね。一応銅は見つかってるんでジェラルミンは作れそうですね。マンガンとかケイ素があればもっと幅が広がるんですけどね。」

「やけに詳しいな。」

「リアルでも金属好きなんですよ。それで売ってくれません?」

「なら相談だが、矢をアルミで作ってくれないか?」

「金属矢ですか。シンさんの弓だと耐えられない気がしますよ。」

「あ、そうなのか。なら弓も作り直して貰うか。」

「それならちょうど良い。桃花も呼んでるから……ほら来た!」

「あ、久しぶりです。」


 そういえば2人とも服が新しくなっている。マッシュは少しワイルドで涼しそうな服で、桃花は可愛らしい和服である。ふと街を見渡すと初期装備の人はほとんどいない。これも攻略が進んでいる証である。


「金属矢を撃てる弓が欲しいんだ。」

「そうなると強弓ですかね。今シンさんが使ってるのが使いやすい短弓で、強度や糸の張りを上げた強弓なら撃てると思います。それか取り回しは大変ですけど長弓でも出来ます。」

「うーん、あまり力は無いからどっちも大変そうだな。」


 俺は力が上昇するようなスキルはあまり持っていない。〈短剣〉や〈弓〉は一応上昇するが、素早さや器用さの上昇が大きいためそこまでだ。多分マッシュと腕相撲をしたら負ける。


「そこで提案なんだけどコンポジットボウを私と桃花で作ろうと思うのよ。」

「複合弓ですか。たしかにそれなら撃てるかもですが、鉄も銅も向いてませんよ。」

「実はたった今アルミニウムが持ち込まれたんだよ。」


 そう言ってこちらをちらっと見るマッシュ。

 複合弓、別名コンポジットボウは木に金属や繊維を混ぜて丈夫さを上げた弓である。確かにアルミを混ぜ込めば強度は増すだろう。


「それならいけると思います。化合弓の方が力は使わないと思いますけど、複雑すぎてすぐに出来るような代物では無いですね。それに壊れやすいですし。」


 化合弓、別名コンパウンドボウは複合弓にさらにてこの原理や滑車などの力学的な要素を加え必要な力を削減した弓である。扱いに関しては最高であるが、複雑故に作りにくく壊れやすい。近接戦闘を行う可能性がある俺には少し合っていない。


「じゃあ持ってるボーキサイトを全てあげるから複合弓を作ってくれ。ついでに糸も使えるかも知れないし渡しとく。」


 ケイブスパイダーの糸である。フェリエによるとドラゴンケイブの素材は優秀な物が多いらしい。おそらく川を流れるという行動によって適正エリアから外れたっぽい。俺たちには適正だったのかも知れないけど。


「良い糸ですね。滑らかで強度もある。弓にはぴったりですよ。」

「いつくらいに出来る?」

「矢も含めて明後日かな。イベントに間に合えば大丈夫だろ?代金はそのときで良いよ。」

「あぁ、助かる。」


 イベントは明明後日なので問題なく間に合う。


「ヴィズは何もいらないのか?」

「私は、ほら格闘家だから武器が素手じゃない?鍛冶も木工も使わないのよね。」

「メリケンサックとか…。」

「忍者っぽく無いじゃない。あ、でもクナイとか欲しいかも。投げナイフ的な?」

「作れますよ。クナイ。何本いります?」

「あって困る物じゃないし30本くらい欲しいけど。」

「なら、作っておきます。シンさんと取りに来て下さい!」


『フレンドからメッセージが届いています。

 マッシュ:お二人って付き合ってます?』


 ……いいえ、と送っておこう。勘違いされては困る。

 マッシュがこちらを見ながら「またまたぁ。照れちゃって!」とか言いそうな顔をしているがスルーしておこう。


「それじゃあ、よろしくな。」

「はい、明後日に()()()来て下さいね!」


 ……何も言わないでおこう。

 ところでヴィズはウィンドウを開きながら何をニヤニヤしてるんだ?



 そのままログアウトした。今日は疲れたからな。さっさと寝ることにした。

次回はリアル回かもしれない。

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