1-18 城郭都市
朝食を食べたらすぐにログインする。
場所はパスル。
実は今日の目的地は南の第三の街にしようと思っている。洞窟の奥やカンサルへ進んでも良いが、南の第三の街には重要なアイテムが多く売られているという話を聞いたので、それを目指すことにしたのだ。
パスルの東の平原の奥に飛竜の渓谷、ドラゴンケイブなどがあるが、今回向かうのは南の丘の先である。
丘は平原よりも起伏があるが、草が低いので見渡しはかなり良い。馬に乗って走り回りでもしたら気持ちが良いだろうが、馬は持ってない。一応街で馬を貸している店はあるが入ったことはない。
出てくるモンスターは平原と同じくスライムとウルフであり問題はない。そういえば、平原と丘は同じエリアに属しているらしくエリア自体が広い、その上エリアボスの移動が大きいため、エリアボスとエンカウントする事は滅多にないらしい。
でもまぁフラグは回収する物だし、話をすれば何とやらとも言うもので、熊サイズの雷を纏った狼は俺をその双眸で捉えていた。
『エリアボス:ライトニングウルフ との戦闘を開始します。』
狼の身体を纏った雷が点滅を激しくさせる。
攻撃の予備動作だろう。少し下がって様子を見る。
放たれた雷は一直線に向かってくる。しかし、来ると分かっている攻撃を避けられないアホは存在しない。ステップで簡単に避ける。
『スキル〈回避〉を獲得しました。』
おっと、思わぬところでスキル獲得。〈ステップ〉の熟練度が溜まり、派生したようだ。回避に補正が入り避けやすくなる。
しばらくライトニングウルフは雷を放ち続けていたが、当たらないことに嫌気がさしたのか、肉弾戦を仕掛けてくる。
雷で速度を増し、弾丸のように迫ってくるその姿はまさに肉弾である。
避けられなくはない。しかし周囲の雷が微小のダメージと微弱な麻痺を蓄積させてくる。解痺薬は持っていないのでこのままではジリ貧になってしまう。
動けなくなる前に攻撃メインに動きをシフトさせる。今回は近付きにくいので弓での攻撃となる。おまけでノアと影魔法も偶に撃つ。
今回シャドウバインドは遅すぎて使い物にならなかったので、シャドウバレッドのみとなる。
弓に矢をつがえ引き絞り撃つ。立ち止まる隙がないので、ステップをしながらである。動きながら弓を撃つというのは、とても難儀な芸当である。歩き撃ちでさえ普通なら撃つことすら難しいが、シンは持ち前のゲーマー力と特殊能力で矢を当てることに成功する。
何発か当てるとライトニングウルフはHPゲージを大きく減らす。弓にそこまでの威力は無いのだが、ライトニングウルフの防御力の低さと矢に塗った毒ゼリーの影響で、残り2割というところまで減らしていた。
麻痺矢も放っていたが、効く素振りはなかった。雷属性による麻痺耐性でもあるのだろう。
『アーツ〈速射〉〈遠距離射撃〉を獲得しました。』
アーツとはスキルに包含されている技のことだ。〈速射〉〈遠距離射撃〉は〈弓〉スキルのアーツである。ちなみに〈シャドウバレッド〉は〈影魔法〉のアーツ、〈融合〉は〈錬金〉のアーツということになる。
今使えそうなのは〈速射〉だったが、撃つ間もなくライトニングウルフのHPは尽きた。
『エリアボス:ライトニングウルフ を討伐しました。初回討伐報酬が送られます。』
毒で死ぬとはボスらしくない。今までで一番弱いボスだったな。いや、毒が効き過ぎただけか。
ドロップは牙と毛皮である。どちらも雷属性が付与されていたが、使い道はないのでインベントリの肥やしとなってもらおう。
初回討伐報酬はパスル南エリアの地図と雷狼の魂だ。ありがたく貰っておこう。
地図だが、川の途中までしかなく、アントリアの研究所からドラゴンケイブまでは全て別エリアのようだ。
丘を越えると第三の街についた。それが城郭都市ネルリスである。
周りを城壁に囲まれ、綺麗に円形に並んだ街並みの真ん中に教会がそびえ立っている様子は圧巻である。
何から守る城壁なのかと疑問に思ったが、定期的に魔物が大量発生するらしい。もしかしたら防衛イベントがあるのかもしれないな。
色々気になる場所はあるが、お目当てである冒険者専門店へと向かう。
中にはいるとすぐに物色を始める。冒険者が多い街、迷宮都市や城郭都市や王都にあるというこの店の品揃えは、買い物が長い俺をさらに悩ませる結果となった。
先決したのはマジックバッグ。インベントリがバッグについた物である。インベントリと違い重さが反映されないが、重量制限がある。
「マジックバッグ小」品質3
合計10kgまで物をしまえる。耐久力が低い。
品質が低いせいか耐久力は低いが、インベントリに入れておけば問題ない。
次に通信機。遠隔で会話が出来るマジックアイテムだ。イヤリング型であり、耳に装備すると設定した人同士で通話が出来る。これはイベントで使えること間違いない。買いだ。
他にもいくつか使えそうなアイテムを買っておいた。所持金は底を尽きそうだけど。
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