0-2 チュートリアル
帰りに健司と常連となりつつあるゲーム専門店へとよってお目当てのゲームを買っていく。
そういえば高条さんも今日発売のゲームやるって言ってたっけ?もしかして同じ?……まぁいいか。
家に帰ってすぐ始めるわけではない。まずはお昼を食べないとな。急いでもなんにも良いこと無い。実は健司が手に入れてたのは15時から入れるようになる物だった。カセットと呼ばれるものでゴーグルに一度読み込むとその端末で特定のゲームが遊べるようになる。
混雑を避けるために整理券のようになっているらしい。運営も考えてるねぇ。
初期設定などはもう出来るようになっているらしいからまずはそれをやることにする。
まぁ取り敢えず昼食べなきゃ。
準備の出来た俺はヘッドギアをかぶる。
Unique Nature Online、略してUNOにログインした俺こと白井進悟は真っ白な空間に立っていた。
最初に初期設定をすると健司は言っていたが何も無いではないか。
俺が困惑していると後ろから声をかけられる。
「Unique Nature Onlineの世界へようこそ。」
俺が振り向くとそこには美少女が立っていた。真面目な様子で喋っているので少し子役的な雰囲気を感じたが、きっとAIなのだろう。
見た目は人間で言う15歳ぐらいだろうか。全体的に青い。というか肌以外全部青い。とてもかわいいが俺はロリコンでは無いので愛らしいと言った方が正確だろう。
そんなことを考えていると彼女は続ける。
「私の名前はキュリィ。ここ、つまり世界への出入口を管理しているサポートAIです!」
めちゃくちゃフランクな案内人だな。ちなみに俺はフランクフルトよりもアメリカンドッグ派だ。少しキュリィと話をしてみたが正式名称はゲームプレイヤーサポートアーティフィシャルインテリジェンスといい、ログインログアウトや運営からのお知らせなどを仲介してくれるらしい。念のため聞いてみたところアメリカンドッグ派だそうだ。まさかAIと好みが被るとは。最新のAIは好みもあるそうです。
「俺は進悟。じゃあ初期設定を始めてくれ。」
「了解っと。まずはあちらの世界での名前からだね。仮名、漢字、数字、アルファベット、一部の記号が使えて、10文字まで出来る。他のプレイヤーと同じ名前を選んだ場合はそのプレイヤーに確認するけど、一応使えるよ。」
「なる程。ならいつも通りシンで。」
「シンね。設定したよ。ならシン!次はキャラクターモデルと服装だね。この中から選んで~。」
「モデルはリアルからあまり変えなくて良いかな。髪を紺色にするぐらいで。服は男性服の普通サイズの深緑かな。これで良いぞ。」
あんまりぱっとしない選択肢ばっかりだったな。でもこれはゲーム内でいろいろ変えれるようになるってことだよな。面白いじゃん。
「これで初期設定は終わりだよ!チュートリアルは受ける?」
「もちろん。受けないやつおるん?」
「結構いるよ!重要な事言うんだけどね。」
「もったいないな。」
「まぁシンは気にしないで!早速チュートリアル用のフィールドに飛ぶよ!」
すると一瞬のうちに真っ白な世界が一面緑の草原に移り変わっていく。
「とうちゃーく!
えーと、まずはスキルの説明だよ!スキルは色んな方法でGETできるよ!でも教えられないから自分で探してね~。スキルには自動発動パッシブスキルと手動発動アクティブスキルがある。パッシブは常に発動しているもので、アクティブは詠唱や思考で発動できるよ!
シンにアクティブスキル〈大ジャンプ〉を与えたから使ってみて!」
「お、分かった!〈大ジャンプ〉!」
〈大ジャンプ〉を使うと俺は15メートルほど飛び上がる。
予想以上に飛んだな。落下時は・・・痛くない。きっと〈大ジャンプ〉の効果だな。そしてシステムメッセージが来てるな。
『称号〈翼が欲しい〉を獲得しました。』
『職業〈跳び職〉を獲得しました。』
「お次はシステムメッセージと称号と職業についてだね。
システムメッセージは見ての通りゲームシステムから送られるメッセージだよ。スキルや称号やらを手に入れたときに受信するよ。
称号は何らかの条件を満たすと獲得できるパッシブスキルのようなものだよ。職業も条件を満たせば獲得できる。
称号と職業とスキルの違いは効果と他プレイヤーに対する影響だね。
称号と職業はひとつずつ選んで設定すると他プレイヤーからそれだけ見ることが出来る。選んだもの以外はスキルと同じくステータスを見せないと知ることが出来ないんだ。
職業の効果のメインは称号とスキルの獲得条件を満たすこと。特定の職業を持っていないと獲得出来ないスキルや称号は多数あるよ。
称号の効果のメインはスキル取得と特殊なステータスの変化だね。例えば〈翼が欲しい〉だったら翼系列のスキルの取得条件緩和だよ。」
「なる程。だいたい分かった。これで終わりか?」
「後、ステータスの説明だけどシンなら見れば分かると思う。分からないことがあったらメニューからヘルプを見るか私に聞いて!」
「了解。もう世界に入っていいか?」
「OK!では初期地点へレッツゴー!今手に入れたスキルとかは消えるから注意してね。じゃあ気をつけてね~」
俺が気付いたときには辺りには中世ヨーロッパの雰囲気を感じる街並みが広がっていた。
これで導入は終わりです。