1-11 スキル検証
なんだかんだで錬金に使えそうな素材は集めたので俺は色々と試してみることにする。なのでムールとは一旦別行動だ。
やってきたのは再びパスルの錬金術の店である。まとまったお金が入ったので、上位の錬金台を買うことにした。布状の錬金台を買い、店を後にする。
「属性錬金台」品質3
布に魔力を籠めて融合する事で性質が変化することがある。
説明を読むだけでは分からないな。試してみるか。
錬金台のメニューを開くと、籠められる魔力の属性が影しかない。スキルに依存ということだろう。それなら他の属性も手に入れて良いかもしれない。
とりあえず融合可能なアイテムの組合せを探す。属性錬金台では融合不可能アイテムを魔力で無理やり融合させることも出来るらしい。ただし99%でゴミが出来上がるのであまりやろうとは思わない。
今持っている素材はゾンビが落としたボロ装備、スケルトンが落とした骨を下位変換した骨粉、スライムが落としたスライムゼリー、フォレストボアとウルフの素材、草各種、さらにはその辺で手に入る石や水くらい。重さの関係上どれも量はないがいつでも手にはいるので融合しても問題ない。それじゃあ早速やってみる。
まずは骨粉とボロ装備。どうやら骨粉は白の顔料となるらしい。ボロ装備はしっかりと白くなった。綺麗にはなるがボロボロなことに変わりはない。影属性と併用で光属性軽減が若干ついた。「影のマント」のように〈認識阻害〉が付かなかったのは残念だが、追加効果が付くのは大きい。
次にスライムゼリーと水。こちらは属性が加わらなかった。出来たのはスライムジェル。単純にプヨプヨがドロドロになった感じだ。特に効果はない。
フォレストボアとウルフの素材は特に使えなかった。どちらかというと細工師とかの領分なのだろう。
そしてメインである草各種。6種類もあるので検証が大変だった。
まずは薬草。すり潰して傷口に塗るだけでも効果が有るらしいが、水に融合することで経口薬ともなる。魔力草も似たようなものでこちらはマナポーションとなった。
「ポーション」品質2
飲むと体力を回復する。20HP回復。
「マナポーション」品質2
飲むと魔力を回復する。20MP回復。
初期のHPは100なので少し物足りないと思ったが、少し試しているうちにあるものを発見した。
「ジェルポーション」品質3
飲むと体力を回復する。40HP回復。
「ジェルマナポーション」品質3
飲むと魔力を回復する。40MP回復。
「ゼリーポーション」品質3
飲むと体力を回復する。60HP回復。
「ゼリーマナポーション」品質3
飲むと魔力を回復する。60MP回復。
文字通りスライムゼリーとスライムジェルを水の替わりに融合したものである。ちなみにポーションにゼリーを融合した場合、品質2、30HP回復のジェルポーションが出来た。順番も大事なようだ。
効果だけ見るとジェルよりゼリーの方が言いように思えるが、実はゼリーポーションは弾力が強く飲み込みにくいのだ。なので携帯するならジェルになる。
続いて毒草と麻痺草である。食べるとそれぞれの状態異常となる草であるが、水、スライムジェル、スライムゼリーと融合してこうなった。
「毒薬」品質2 「毒ジェル」「毒ゼリー」品質3
摂取すると毒状態になる。
麻痺も同様に麻痺薬等が出来た。効果はポーションと同じく差がでたようだが、ポーション類との違いは飲まなくても効果が出るということ。つまり矢や剣に塗り傷口から状態異常を起こせるということだ。かなり戦闘も幅が広がる。
意外な成果があったのが香草だ。香草は水と融合してこうなった。
「誘引水」品質2
撒くことで付近の魔物を惹きつける。5分。
ジェルとゼリーは誘引ジェルなどとなったが効果は付いていなかった。おそらく中間素材なのだろう。
最後に全く期待していなかった雑草だ。これがなんとハーブティーになった。つまりファンタジー的な植物ではなく現実と同じ使い方が出来る、まさに雑草だった。ハーブティーを楽しむ人以外には何も得られない結果となった。
影属性は薬品全てにおいて付けることは出来なかった。
しかしながら薬類が自作できるようになったのはありがたい。消耗品は積もってかなりのお金を使うことになりかねないからな。
なんだかんだで錬金の検証を終え、最後の検証に向かう。
着いたのはパスル南の丘だ。
検証するのは新スキルである〈影魔法〉。まだ一回も使って無かったからな。
今使える魔法は〈シャドウ〉〈シャドウバインド〉〈シャドウバレッド〉の三つだった。
〈シャドウ〉は自分の影を動かす魔法だ。動かせるといってもくねくね自由に動かせるわけではなく、人型を保ったまま本体とは別の動きをさせられるだけだ。一番基本のスキルである。
〈シャドウバインド〉は自らの影から細長い影を飛び出させて拘束するスキルのようだ。強さは分からないが、近くにいたスライムは少なくとも逃げられなかった。
〈シャドウバレット〉は影を弾にして撃ち出すスキルだ。
〈シャドウバインド〉も〈シャドウバレット〉もMP以外に自分の影を消費した。小さくなるのだ。MPと同じく自然回復はするが、ポーションで回復出来ないのは難点だ。そのお陰か魔力消費は少なかった。
最後に時間帯によって影の長さが決まり自らの影の量が決まるようだ。
なかなか難しい魔法であるが使いこなせれば面白そうではある。
検証が終わった俺はパスルに戻ることにした。