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自称狩人の非日常  作者: しにぐりん
1 技能と異能と個性と
10/49

1-8 研究所攻略 前編

 今、俺は見慣れぬ建物の中にいます。そしてアンデッドと戦闘を繰り返しています。


 何故こうなった……時は1時間程前に遡る。



 俺はムールと平原に来ていた。狙いは勿論錬金素材。採集をしつつ、現れたモンスターを倒す。ただそれだけだった。

 採集が出来たのは「薬草」「香草」「毒草」「麻痺草」「魔力草」そして「雑草」。採集してるうちにスキル〈採集〉を手に入れたが、それはどうでも良い。

 薬草と魔力草は単純にHPMP回復ポーションの材料である。毒草と麻痺草はその名の通り状態異常を引き起こす。そして香草は良い香を風に乗せていたが使い道は分からなかった。雑草も同様だ。

 この平原に出現したモンスターはスライム、そしてウルフだ。スライムは粘性の丸っこい魔物であり、物理耐性を持っているがHPが低すぎるので一撃で倒すことが出来る。ウルフは3体程の群れで現れる厄介なモンスターである。まぁ油断しなければどうということはない。


 平原を進んでいくと大きめの川にぶち当たった。渡ろうとしたが流れが速かったので一旦断念する。

 なんとか渡る方法を模索していると水流に足をとられる!こういうときは焦ってはいけない。流れに身を任せ、落ち着くのを待つのだ。内心滅茶苦茶焦ってるけどな!ゲーム人生で川に流されるのは初体験だよ。

 少し待っていると川岸に流れ着いた。しかし渓谷になっているようで平原に戻るのは骨が折れそうだ。ていうかもう折れてそう。…一応大丈夫か。幸いダメージは少ししかくらっていない。とか考えてるとムールも流れてきた。


「ムールも流されたのか。」

「いや、こっちの方が楽だと思ってわざと流された。」

「無茶するねぇ。」

「だけど良いものあったぜ。」


 ムールの向いてる方を見ると、石で出来た通路が崖の中へと続いている。帰り道の宛もないしとりあえず入ってみることにした。


『迷宮:アントリアの研究室 に入りました。』


「研究室なのか迷宮なのかはっきりしてくれよ。」

「まさかこんなところにもあるとはな。」

「何か知ってるのか?」

「北方面の3つ目の街が迷宮街って言って3つの迷宮の入口があるんだよ。」

「なるほど。どんな感じなんだ?」

「ドロップと宝箱は美味しいらしいぞ。でも敵が厄介らしい。」

「とりあえず進んで確かめるか。」


 しばらく進んでいていくつか分かったことがある。まず、迷宮内はオートマッピングで通った道は記録されていった。道は幾重にも分岐していたが、いずれも宝箱等は見つけることが出来なかった。宝箱が存在しない迷宮なのだろうか。


 そして一番厄介なのが出てくる敵が全てアンデッドということだ。生憎と効きやすいと言われる魔法をどちらも持っておらず、物理攻撃でゴリ押すしかなかった。出て来るのはゾンビとスケルトンであり、ゾンビには斬撃、スケルトンには打撃が有効打らしいので、ムールと分担して倒していった。しかし数が多く連携してくるので厄介この上ないのだ。

 このアンデッド達は稀に魔石を落とした。ムール曰わくダンジョンモンスター限定のレアドロップだそうだ。100体ほどで2つ落としたのでかなり確率は絞られてるようだ。〈不幸な者〉がどちらに働いているか分からないが、いずれにしたって確率は相当低いだろう。


 迷宮を進むこと3時間。ようやく雰囲気が変わってきた。全5階層だが道が多くて嫌になっちゃうね。

 広めの部屋にでた。ボス戦のようだ。


「準備はいいか?」

「勿論だ。」


 奥の扉から新たなアンデッドが現れる。HPが表示され名前も表示される。


『迷宮ボス:イリュージョンリッチ との戦闘を開始します。』


 紺色のマントを羽織っており、フードの隙間から覗く顔はしっかりとした形を残しており、ぱっと見だと人間にも見えるだろう。しかし、周りを漂う黒いオーラが人でないことを示唆している。

 イリュージョンリッチは呪文を唱え出す。対魔法職の基本は近接に持ち込むことと詠唱をさせないことだ。俺はダガーを1本投げて呪文を一旦止め、その隙にムールが接近する。

 ムールが振った棒は空振りに終わる。どうやらこのリッチは素早いらしい。ムールの連撃は華麗に躱される。

 俺はその間にダガーを拾い、ムールとスイッチして攻撃を繰り返す。


「これじゃあ埒があかないぞ!」

「そうだな。攻撃が当たらない。」

「どうするよ?」


 そう。攻撃が当たらないのだ。"物理演算"の予測では当たっているはずなのに。


「ムール!おそらくギミックボスだ。当たらなくなるギミックがあるはずだ。」

「そう言うことか。なら多分幻術だな。イリュージョンリッチだし。」

「じゃあ本体を探してくれ。」


 俺は呪文を唱えさせないために手を止めることが出来ない。ムールに探してもらうしかない。

 ムールは注意深く観察を始める。数秒観察して何か分かったのか、ムールはリッチの背後に棒を振り抜く。それは鈍い音を放ち、俺が戦っていたリッチは消え、HPゲージがガクッと減る。ムールのそばに現れたリッチは倒れ込み消える。そして宝箱が現れた。


「どうやって位置が分かったんだ?」

「影だよ。黒いオーラで見えにくかったけど地面に影は映っていたんだ。」

「なるほどな。そう言うことだったのか。」


グサッ


 刃物が体を貫く。突然のことに二人は反応出来なかった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「なんか知ってるのか?」 「北方面の3つ目の街が迷宮街って言って3つの迷宮の入り口があるんだよ。」 のところ。掲示板では4つの迷宮って書いてあった。どっちが正しい?
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