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自称狩人の非日常  作者: しにぐりん
0 始まりは時に矢庭なもの
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0-1 親友からの誘い

初日のため今日中に3話投稿します。また、しばらく毎日投稿となります。

 目覚ましが波長の短い音を鳴り響かせたことで目を覚ました。時計を見ると5月31日6時30分22秒。最近の時計はほとんどが日付まで付いている優れものだ。まぁ流石に年までは需要が無かったらしい。


 カーテンを開けると日差しが差し込んでくる。家と言うものは電気の消費を抑えるために東と南側に窓が大抵付いている。もちろんこの家も例外ではない。


 朝日を浴びて体内時計を設定し、朝食を食べ学校に行く準備をする。体内時計というものは一般的に使われる体内時計であって、決して体に時計を埋め込んでいる訳ではない。そうだったらわざわざ時計を置く意味が無いからな。いつかそういう時代も来るのだろうか?……この発想は結構古臭いかもしれない。


 さて、さっさと準備を終えて玄関を開ける。玄関開けたら佐藤のご飯が待っている訳でもなく、階段まで一直線だ。あいにくマンションの3階ということもあってエレベーターよりも階段の方が早い。


 マンションを出ると、いつものように幼なじみが出迎えてくる。いつものようにだと語弊があるかもしれない。4月からの1ヶ月半ぐらいだからな。そいつはこちらに気付くと手を振ってくる。


 残念ながら10数年の付き合いになるこいつは男だ。ラブコメ展開になると思ったか?そこまで人生は甘くないってことだ。

 甘いのはエクレアだけで十分。ラテン語の稲妻が語源のあの洋菓子は俺の心を一瞬で掴んで来やがった。おっと、好きなスイーツの話してる場合じゃないな。後でじっくりと話してやる。


 こいつの名前は杉宮健司。とてもイケメンなのだが十年以上の付き合いとなると腹が立ってきたりこなかったり。


「よぉ!今日も同じ時間だな。進悟。」

「まぁな。午前中で終わると言っても学校は学校だからな。」

「行く意味無い気もするけどな。」

「それは確かに。」


 今日は一学期の終わり。いわゆる終業日ってやつだ。俺達の通う学校は少し特殊で夏休みが6月からである。教授曰わく、


「混んでる休みは嫌だろ?」


だとよ。まぁ、結果的に夏休みを楽しめるのだから深く考えないでおこう。


「進悟。一緒にゲームしないか?」

「またか。今度は何だ?」


 健司は昔から俺に新しいゲームを見つけてきては押し付けてくる。俺も楽しんでいるから別に良いのだが。さぁ今回はどんなゲームなのやら。


「一昨日発売されて今日サービス開始のVRMMORPGだ。タイトルは『UniqueNatureOnline』、略してUNOだ。」


 ほう、UNOとな。昔そんな名前のゲームがあったような……電気を使わないレトロカードゲームだったか。


「おい。聞いてるか?」

「聞いてるぞ。カードゲームだろ?」


「……聞いて無いじゃないか。まぁいい。実はβテストから目を付けていたんだが抽選に落ちてな。まぁ一陣での入場券を手に入れたけど。お前の分も入場券手に入れておいたから帰りに貰いに行くぞ。」


 ……仕事のできる男だこと


「それは前に買ったあのVRゴーグルでいいのか?」

「あぁ問題無い。やってくれる気になったか?」

「まぁな。それでどんなゲームなんだ?」

「かなりリアルに近づけたMMORPGらしい。」

「らしいというのは?」

「運営が言ってるだけだからだ。」

「ん?βテストがあったんじゃないのか?」

「あったはあったんだが本当にシステムのテストぐらいで中身までは分からなかったらしい。具体的にはモーションアシストやUI、AIの動作確認だ。やってみるまで分からないって事だな。」

「それ、テストしてる側つまらなくないか?」

「え?あぁ。いくつかのスキルセットから一つ選んで簡単なダンジョンをクリアする感じだったらしい。

 でもリアルと間違える程の良くできた世界らしいぞ。何でも生き物には内臓があるし、風による木の揺れや肌寒さ、天気の移り変わりまでしっかり作られているらしい。」


 ふむ。風や生体の再現か。もしかしたら分子レベルで作ってたり………まさかな。


 そんなこんなで話をしていると学校にたどり着く。


 家から学校まで近いといいな。高校の頃は歩いて20分はかかったからな。近くのマンションを選んで正解だった。

 さて、今日は午前中で終わりだしさっさと帰るとしますかね。健司とはクラスが別なので別れて自分のクラスへと向かう。


 俺と健司が通っているこの大学の名は特殊技能大学。略して特大。少し中二チックな名前だが国家が運営してる一流の大学だ。

 しかし、学力で入れる大学ではない。入学の条件は何らかの特殊技能を持っていること。例えば、計算がめちゃくちゃ早いとか、記憶力がとても強いとか、そういうやつだ。


 生徒は各々入学時に特殊技能の名前がつけられて個人と教師に共有されている。もちろん同じ技能持ちもいるだろう。クラスも技能によって分けられている。

 実は教師も技能をそれぞれ持っているらしいのだが教えてはくれなかった。まだ入学早々ということもあるのだろう。

 そのため数少ない友人から教えてもらった数個しか技能は知らない。

 例えば健司のは、


「あ、おはよう!」

誰だ!あぁ高条さんか。


 彼女は高条さん。同じクラスの友人だ。学年の初めの自己紹介で気が合い、よく話をする。二人ともまぁまぁなゲーマーであり理系なのだ。

 このクラスは多分だが理系が多いのでそういう技能持ちが集まっているのだろう。


「お!アイドルのお出ましですな!」


 高条さんに言われて扉の方を見るとちょうどひとりの女子が入ってくるのが見える。

 彼女は五十嵐さん。このクラスのアイドルとも呼べる存在であり、とてもかわいい。

 しかし、自己紹介の時の一回しか目が合ってない。……少し哀しい。


「ちょっと!早く歩きなさい!解ってるの?桑ヶ谷君!今日は終業日なのよ!時間が無いのよ!」

「えぇ…。会長も持つの手伝ってくださいよ。」


 あれは生徒会の方々かな?いつもご苦労様です。


「ねぇ!今日サービス開始の新しいゲームがあるの知ってる?」

「え?知らないなぁ。高条さんはそのゲームやるの?」

「うん!一緒にやろ!」

「んー。まぁ機会があったらね。」


 なんかどっかで聞いたような話題だが気のせいだろ。おっと!朝礼が始まる。着席しよ。

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