手に入らない光は見ない
暗い穴の中から手を伸ばしている。
けれど、光に触れられない。
穴の外には、光があふれているのに。
あたたかそうな光。
まぶしそうな光。
それはとても幸せで、とても楽しいものなのだろう。
けれど、どうやってもそれには触れられない。
だから、その光はとてもつまらないものなのだと、思い込む事にした。
手にする事ができないのだから、無駄に羨んだって意味がない。
今ある物で、満足するしかない。
手に入らないものに、心を焦がす事ほど愚かな事はないのだから。
だから私は目を閉じて、そんなものを見ないようにした。