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59話:ミケランジェロ、ピエタとダビンチの最後の晩餐

 そのため荒削りの状態。この「ロンダニーニのピエタ」はミケランジェロ最後の作品。彼は視力を失いながらも倒れる直前まで制作にとり組んだと言われてる。当時としては異例の89歳と長寿で亡くなった。


 このピエタはスフォルツェスコ博物館に収蔵されるまで、ローマのロンダニーニ邸にあったため、「ロンダニーニのピエタ」と呼ばれる。我が子を抱き上げ、嘆き悲しんでいると言うより、母の慈愛を感じられ、素晴らしい芸術作品だ。


 もし完成していたら、一体どのような表情を浮かべていたの興味は尽きない。その他、400年ぶりに発見されたダ・ヴィンチの天井画、ミケランジェロは、本名ミケランジェロ・ブオナローティと言い、フィレンツェ共和国の生まれ。


 ロレンツォ・デ・メディチに才能を見こまれ、メディチ家に引き取られて彫刻を学んだ。彼はダ・ヴィンチと同時代に生きた彫刻を得意とした芸術家だが、ダ・ヴィンチより20歳若く、ダ・ヴィンチに対して強いライバル心を抱いていたと様だ。


 若いときに喧嘩をして鼻が折れてしまい、それがコンプレックスとなって偏屈な性格になったとも言われてる。メディチ家の庇護を失った後、ローマに移って、あの名作、「サン・ピエトロ大聖堂のピエタ」を制作した。


 次、徒歩で、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会へ向かった。ここでは、なんといっても「レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐」が有名。しかし、「最後の晩餐」が観賞できる時間は15分間で予約制。


 ユネスコの世界遺産に登録されている、「イエス・キリストと12使徒たちが描かれた謎と神秘の壁画」を死ぬ前に1度は見てみたい願いが叶った。「最後の晩餐」が飾られている部屋には、一度に25人までしか入れない。


 見学時間が近づくと、まず入口のガラス製の自動ドアの前に並ぶ。ドアが開き小さな部屋へと入ると、入ってきたドアが閉まり展示室へのドアが開く仕組みになってる。15分刻みの入れ替え制。


 ちなみに、最後の晩餐の見学が終わるまで外に出られないので注意が必要。ここまで厳しくセキュリティ管理に驚くかもしれない。実はこれは「最後の晩餐」そのものに理由がある。


 最後の晩餐は壁画でよく見かけるフレスコ画ではなく、テンペラ画という技法を用いてる。壁画を描く場合は保存に優れたフレスコ画の技法を用いることが一般的である。


 ところがフレスコ画は壁に漆喰を塗ってから乾ききるまでの8時間程度で完成させる必要があり、重ね塗りや書き直しできない。ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチは筆が遅いことで有名な画家。


 8時間ではとても足らない。さらにダ・ヴィンチは写実的な絵を描くためには重ね塗りが不可欠と考えた。代わりにダ・ヴィンチが採用したテンペラ画は、卵、ニカワ、植物性油などを溶剤として顔料を溶く技法。


 フレスコ画と異なり時間の制約が無く、重ね塗りや書き直しも自在。反面、テンペラ画は温度や湿度の変化に弱く壁画には向かない。そしてこの場所は修道院の食堂。


 部屋にこもった食べ物の湿気や熱が、この絵を侵食する原因となる。それだけではない。17世紀には絵の下側、中央部分に出入り口用の扉を作ってしまった。当然、その部分は完全に失われる。


 更に17世紀末のナポレオンの時代には馬小屋として使用された。絵の保存環境としては最悪。そのうえ、ミラノは2度の大洪水に襲われており、壁画全体が水浸しとなった。第二次世界大戦中の空爆では、食堂自体が破壊され。


 現在まで残っていることが奇跡。待合室で待機しているとやがて自動扉が開き、いよいよ最後の晩餐との対面の時、薄暗い展示室に足を踏み入れると奥の壁に淡い光に照らされた最後の晩餐が浮かび上がる。


 想像よりも大きく迫力がある。ダ・ヴィンチが描いた最後の晩餐は当時としては革新的な遠近法を駆使し、人物の配置も計算され尽くされてる。この絵はヨハネによる福音書13章21節から、「12弟子の中の一人が私を裏切る」とイエス・キリストが予言した、まさにその場面を描いた。


 イエスの発言に対して使徒たちの間に生じた緊迫した雰囲気が生き生きと大迫力で描かれてる。この絵は細かい所を見る事で、よりその世界に入り込み、面白くなる。様々な説があるが、有力なものをご紹介する。


 まず、注目していただきたいのはイエスのすぐ右側の3人の人物。イエスの隣で反対方向に寄りかかっているヒゲのない人物、身を乗り出している白髪の老人、対照的に身を引いている黒髪黒ひげの人物。


 右手にナイフを持っている白髪の老人はイエスの言葉に激しく反応し勢い良く立ち上がり、まるで「誰が裏切り者なのですか!?」と追及している様に見える。彼は十二使徒の統率者で使徒の中でイエスと最も親しくしていたペテロ。

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