43話:2025年問題2
2025年の全人口に対する高齢者の割合は、厚生労働省の試算では75歳上「後期高齢者」が18%、65から74歳「前期高齢者」を含めると30%を超えるとされている。
それは、世界中のどの国も体験したことのないレベルの超高齢社会に向かってハイスピードで突入することだ。このような時代を迎えるにあたって、いたずらに不安を感じるのではなく、その背景を正確に把握すべき。
今からそのような事態に備えておくことが必要です。正しい知識があれば、ピンチをチャンスに変えることも可能ですし、打開策も見つかるはずです。今回はこのような観点から2025年問題を考えていきたいと思う。
団塊世代「1947から49年生まれ」と団塊のジュニア世代「1971から74生まれ」日本の年代別人口は、この2つの世代が突出しており、そのため上の図のように歪な人口ピラミッドを形成している。
そうした世代が、前期高齢者や後期高齢者になるため様々な問題が起こることが予測されている。それが2025年問題の本質。2025年問題は大きく分けて、人口問題、医療問題、年金問題、介護問題の4つがある。
この4つの問題についてそれぞれまとめていく。人口問題、2025年問題、少子高齢化による人口問題は単純で、生産「扶養する」人口が減って非生産「扶養される」人口が増えるということ。
働き手が減るのに養われる人が増えるということになる日本の生産年齢人口「15から64歳」は1995年の約8700万人をピークに2016年には約7600万人と減少の一途を辿っている。
ではその間、日本の経済はずっと下降し続けたのでしょうか。日本の経済力の指標としてGDPを調べてみる。1996年の約4.5兆ドルから2017年には、約5.3兆ドルへと成長をしている。
そして2017年には上場企業の多くが過去最高益を出すなど日本経済も順調。これにはアメリカをはじめとする好調な世界経済の影響もあるのですが、日本企業も円高に耐えうるようにすべきだ。
そのため、体質の改善を図ったり、多様化する新しいニーズを掘り起こしたりするなどの努力を行った結果だといえる。生産年齢人口の減少が経済力に直結していないという事実がこれではっきりしたと言えるのかもしれない。
しかし、生産年齢人口の減少が深刻な問題であることには変わりない。いずれ、移民政策についても、真剣に議論しなければならないのかもしれません。
ほかにも過労死が社会問題化しているような長時間労働の問題や先進国の中で最低ランクという低い生産性の問題など超高齢社会のもとでも日本が成長できるように政府が取り組む「働き方改革」の実現を諸問題の解決に向けて成し遂げる必要がある。
これは医療費の問題です。医療費の伸び率がGDP伸び率を超えているために、日本の国民皆保険制度が危機に瀕しています。2000年の医療費は約30.1兆円でGDP比は5.9%でした。
それが2015年には約42.3兆円になりGDP比では8%以上にまで膨らみんだ。その費用は、患者負担と保険料を合計しても6割程度しか賄われていません。
残りの4割は税金からの補填です。既に大赤字なのです。一般的に、年齢が上がると医者に掛かる機会が増え、医療費がかさみます。高齢社会では医療費はさらに増えると考えられる。
それは大変だというのが医療問題。では、どうしたら良いのでしょうか。最も手っ取り早い解決策は、企業と個人が負担する保険料を引き上げるということと患者が払う医療費の負担額を増やすということが考えられる。
もうひとつは医療サービスを削るという考え方。これは、患者側が本来受けられる医療サービスを一律に削るということではなく、現在の過剰ともいえる検査や投薬を見直すという方向で考えていくというもの。
そのためには患者の方でも、ちょっとしたケガで必要以上の大げさな検査を希望しないようにしたり、医者から処方される薬を余らせて期限切れにしてしまわないようにしたりする自己管理が必要になってきます。
また、生活習慣病の予防や老化とともに衰える筋力の保持をするために、生活の中に予防医学の考えを取り入れていくことも必要です。乱れた食生活や不規則な生活を改め筋力低下による寝たきりを防ぐため適度な運動をすべき。
健康寿命を延ばすことを考えてである。年金の問題について健康保険と違って、こちらは黒字。年度によってばらつきはあるが、2016年までに累積で約64兆円もの黒字になっている。
リーマン・ショックによる打撃から回復した世界経済の好調を反映して、好業績を記録する日本企業の株価上昇を受け、運用益が出ているおかげです。年金の財務は当面は心配ないと思われる。