15年越しの後悔【4】
面会を終えて病院の外に出ると、例の高校時代のドッペルゲンガー、もとい分離衝動が突然目の前に現れた。
とっさに身構えたが、分離衝動は砂のようにさらさらと崩れて消えていった。
「存在する理由がなくなったから、消えていったんだよ」
神出鬼没な例の女子高生も現れた。
「君の分離衝動が消失する条件は『友人を傷つける行動を取ったと認める事』だったんだろうね」
女子高生は少しずつ俺に近づいてくる。
「さっき会ったんでしょ?船瀬雪斗くんに。ようやく会えて良かったね」
「……お前は一体何者なんだよ。俺の事を何でも知っているみたいだが。それにこの超常現象だって……」
「まだ気づかないって事は、この変装は効果アリだね」
どういう事だ?
よく見てみると、コイツの顔はどこかで見た事ある……。
やれやれ、と女子高生はおもむろに自身の髪を引っ張った。
と、いうより外した。
「やっと会えたね。僕だよ、18歳の船瀬雪斗だよ」
「……は?」
「僕はね、15年前に君から酷い事を言われて生まれた分離衝動なんだ。君の場合は突き落としを受けたのが一回きりだったけど、雪斗はあの後も何度か突き落としを受けてね。何度も分離衝動が発生して、それが積み重なった結果、僕は自我が形成されるほどの存在になってしまった。そして本体の方は意識を失っている。君のように分離衝動を消失させれば、本体は意識を取り戻すかもしれないんだけどね。僕としても、ずっと存在し続けるのは嫌なんだ。だからね……」
俺に詰め寄り、目の前の雪斗は言い放った。
「僕を消してほしい。元々僕が生れたのは君が原因だ。責任取ってよ、ねぇ、アオちゃん」