プロローグ
初めて物を書きます。
完結はさせます。
①
朝の7:00にアラームが鳴るようにセットしてある。
のそのそとスマホを探し、取り敢えず窓を開けた。
今日も嫌な一日が始まる。キッチンへ向かいコップ一杯の水を飲むと、そのまま俺はシャワーを浴びた。
軽く身支度を整えた後、最寄り駅徒歩12分の自宅を出る。
商業系の大学を卒業してから2年。システムの営業として日々を過ごしている。最初は嫌いだった上司の気持ちも、今では少し分かる。段々仕事の楽しさと言ったようなものが分かるようにはなってきた。ただ、それでも朝の出勤時は憂鬱だ。
通勤電車とは、もっと優雅なものだと子供の時は思っていた。大人は皆、「大人」という存在で、つまらない小競り合い等は起こらず、小説や新聞を眺めながら悠々と出勤するものだと。当時は本気で思っていたものだ。
そんな幻想は大学時代には既に消え去り、今ではすっかり順応している。おっさんはタックルをかましてくるし、痴漢の冤罪にも気を付けないといけない。座れるなんて夢のまた夢だ。
すし詰めの電車の片隅で、縮こまっての出勤。当時の自分には申し訳ないが、これが24歳の現実なのだ。
俺が今乗っているこの路線は以前も痴漢騒動で遅延したことがある。今目の前にいる女性の身体は樹齢千年のモミの木の様なボディで、こんなやつが痴漢の冤罪だなんだと騒ぎ立てた場合、自分は捕まるのだろうか。たまったものじゃないと思った。
結局、片手はつり革、片手はスマホ。これが自分の定スタイルとなってしまっているのだった。
通勤時にはまとめサイトや漫画を読むのだが、最近異世界転生モノにハマっている。自分が異世界転生したら...というのはなんとも夢のある話で、このようにうだつの上がらない毎日を過ごしている自分にとってはそういった妄想は未だに楽しい。
教室にテロリスト、それを撃退する自分。そんな妄想も勿論していた。年を取ろうと俺は変わることはできず、今日も妄想をする。
もし、自分が異世界に転生したら。
次回から長くなります。