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サヨナラの文字は。

一話だけはせっかくですので昔書いた作品から大して修正を加えていません。

語彙力の欠如などは見受けられるかもしれませんが、書き直すと作りに作った覚えていない伏線を削ってしまいそうなのでやめました。2話以降は修正をかけて読みやすくしてありますので、これからも読みにくいわけでは決してないということをここにて述べさせて頂きます。

これから私の語彙力不足が見受けられるのであれば申し訳ないとしか言い様がありません。

俺はどこかもわからない薄暗い場所の中心で目を閉じて立っていた。何故立っているのかとかどうしてこんな世界に来たのかとかは分からない。いつの間にかこんな世界に来てしまった。

というよりなんだろう、この暑さは。今の季節は夏か。そりゃあ暑いにきまってるかなあ。蝉の鳴き声が耳の中を焼き焦がすように暴れまわる。太陽よ、沈め。セミよ、黙れ。

いや、それにしては暑すぎじゃないか?なんだか嫌な予感がする。地球温暖化とかいう現象がこんなにも身にわかるようになったのか。んな訳あるか。それにしてはさすがに派手すぎだ。

ところで俺は夏が一番嫌いだ。暑いという以前に熱い。まるで、オーブンの中にいるみたいだ。じりじりじりじり、じりりじり。と焼ける。

夏になると俺の身が悲鳴を上げてしまうのだ。俺の肌の夏耐性は皆無で、夏属性の攻撃を食らわされるとクリティカルが出て痛恨の一撃とか効果音が流れそうな気分になる。ああ、もし、燃え尽きて死んでしまいそうになった俺の前に青髪の氷の魔法少女(美女)が現れたらどれほどいいのだろう。「和斗様、私があなたの体を冷やして差し上げましょう」なんてな。まあ悲しい妄想もそれくらいにして、現実には俺の部屋に入ってくる女は沙耶かGの雌ぐらいなのだ。無念。

そういえば、沙耶はどこだ?あ、あいつは学校にいるか。あいつは本当に馬鹿だな。

全く好きで学校に行く意味が分からない。

まあ、沙耶はそういうやつか。そういうやつだからこそ、俺と仲良いんだろうな。

ああ、あいつに会いたいな。あいつに会えば俺のこのつらい気持ちも吹っ飛ぶだろうに。熱帯低気圧並だ。

あいつの幸せそうな笑顔はいつまで見てても飽きないからなあ。

沙耶に会いたいな。仕方ない、学校にでもいくか。

そう思って俺は空を仰いだ(引き篭もり気分)。今日は空気もひどくよどんでいるし、気分ものらない。こんな時ほど沙耶に会いたいものだ。そう思いながら、軽く目を閉じると、次に目を開けた時には、なぜか視界は全く変わっていて、俺は学校らしき場所にいた。赤い視界の中は、一人の少女と投げ飛ばされた机や椅子がまだらに映っている。

沙耶だ。少女の俺の前に沙耶がいる。どうやら、ここは学校のようだ。

場所は俺達の教室か?わからないがどこかの教室に違いはないみたい。

ああ、熱い。蝉の声が俺の鼓膜を削っている気がして気が気でない。沙耶と話したい。

「なあ沙耶、聞いてくれよ」

俺は沙耶に声をかける。いつもなら優しそうな笑顔で返事を返してくれる沙耶だが、今日はなぜかご機嫌斜めのようだ。まあこの暑さなら仕方がないか。沙耶はいつだって夏が嫌いのようだったからなあ。

「また夏が来ちまったな。お前もさすがにこの季節はへばるんじゃねーのか?」

ようやく沙耶はこっちを向く。急に向かれたた為少し驚いてしまった。決して人と向かい合うのが苦手なわけではない。勿論、コミュ症でもない。そう、決してだ。

そうね、アイスが食べたくなっちゃう、和斗、おごってくれない?とかいう返事を返してくれるだろうと思っていたのに、沙耶から返ってきたのは想像していたのと全く違う返事だった。

「和斗、言いたいことがあるの」

おおっこれはっ!!と少し調子に乗ってみる。もしそうなら人生初の経験だ。

「なんだよ」

「もし、私が死んでも和斗は私のことを忘れないでくれる?」

死んでも?いきなり変な話だな。沙耶は死ぬという言葉が一番嫌いだったはずなのに。

「たりめえだ、俺は暗記力がいい方だからな」

「そう?嬉しい。私死のうと思うんだ」

死のう…と思う…?どういうことだ?沙耶の気でも狂ったか?

「おい沙耶、し、死んでどうすんだよ?」

「うーーん、それはよく分かんないけど私、死ななきゃならない気がするの」

蝉がうるさい。沙耶の爆弾発言もなんだか今なら冷静に考えることもできた。死んでしまってもいい気がしてきた。実際は沙耶が死んでしまったら100%自殺するだろうに。

沙耶をとめなければ。あいつが死ななきゃならないなどありえないのだ。少なくとも俺が必要としている。あいつが生きてないと俺は……。

死なないでくれ。死んでもいいことなんてないってお前はいつも言ってたじゃねえか。そう必死に口にしようとしたとき。

「死にたければ死ねば?」

俺の後ろで声がきこえた。死ねば?だと?沙耶に向かって死ねだと?俺は憤怒した。沙耶が死ぬという意味を分かっていないこのくそ野郎に。鈍い殺意が握った拳の震えに比例して増していく。殺すぞ、と一言言ってもおかしなことではなかった。

「おいてめえ、ふざけたことぬかしてんじゃ……!!」

ぬかしてんじゃねえぞ。俺はそう言おうとした。が、この夏で気が狂ってたのか、それともこれは俺の過去が生み出したビジョンなのか。

「死にてえなら死ねばいいんじゃないのか?お前がそう決めたなら、俺は口出しする権利がないからなあ」

「和斗、そう思う?」

さっきから沙耶を罵倒しているのは他の誰でもない俺だった。

俺は今ここにいるからこいつは俺ではない。でも沙耶がそいつのことを俺の名でよぶあたり、そいつは俺で間違いないだろう。

これは何なのだろうか。悪夢か。地獄か。

「死ねよ。一度発言したことを曲げることほど俺が嫌いなことはないからな」

「ねえ、和斗。どうして私をそんなにも信じてくれなかったの?」

信じてくれなかった?何をだ?俺は話に聞き入る。

「さあな、あえて言うならお前に興味がなかったことかな」

待て。興味なかっただと?そんなはずがないだろう。逆に怖いぐらいいつでも沙耶のことを考えていたんだぞ。

はい、決定。こいつは俺じゃない。

Because沙耶への愛がたりないから。

「興味が……?なかったんだね……」

「ああ、以上だ。もういいか?死ね」

「……わかった。最後に一ついいかな?」

「ああ、なんだ?」

俺は目を見開く。これが夢であろうとなんであろうと、ここで告げられる言葉はすごく大切な気がした。彼女は背景に夕焼けを教室の窓からのぞかせたまま、髪の毛を夕焼け色に染めていた。俺は唾を飲んだ。そのままにしておいてあげれたらどんなに良かったことだろう。そして彼女はあの美しすぎる笑顔を向ける。

「私は大好きだよ。今でも和斗のことが大好き。あの時初めて出会ってから、ずっと」

バンと窓が開かれる。勢いの強い風が一気に教室の中に入ってくる。俺の視界いっぱいにひろがっているのは大きな大きなタイヨウだった。その偉大すぎる光景に俺はああ、と声をもらした。彼女はそして笑顔をみせた。

「サヨナラ、和斗、元気でね」

そして、彼女は窓の外に身をのりだした。俺の静止を呼びかける声も掻き消し、彼女は自由の大空へととびだした。そして鈍い落下音がすぐ下であたりに響き渡った。残ったのは蝉の声とこの蒸し暑さと大きな無力感だった。もう一人の俺のビジョンも消えてなくなっていた。呆然とした俺の脳は全く活動せず、俺は真夏日の中誰もいなくなった虚無の教室で、ただただ「ごめん、ごめん……」と小さく声を喉からひねりだす事しかできなかった。

が、その声さえも、蝉のまがまがしい声のせいで消えてなくなってしまった。

汗を大量にかいた俺は蝉さえも動けなくなってしまった俺に「ざまあみろ、クソガキ」と告げているように見えた。



そしてこの結末を物語の最期として、1年前へと俺達のビジョンは戻っていく。

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