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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ペアリング

作者: SuN

なぜ彼は私に優しい笑顔を見せるのだろう…

そのたびに胸の奥が締め付けられて彼のとりこになる…


彼も私と同じなんだろうか…


この抑えられない気持ちを彼に素直にぶつけていいんだろうか…嫌われたりしないだろうか…不安になる…


だけどそんな事悩んだり考えたりするの辛いしさびしいけど…なんだか楽しい。


だって私は彼の事大好きだから。









でも…そんな彼はもういない…

私をおいて死んでしまった…

私をとりこにしたまま逝ってしまった…


一昨日の夜 その日は私の誕生日だった。その日はお互い仕事を休んで朝から遊園地にいっていっぱい遊んで夜は彼のアパートに行きケーキを食べながら二人で盛り上がっていた。 すると突然彼が

「ちょっと待ってて!」と言ってアパートをとびだしていった。


一時間…二時間…彼は戻ってこない。

電話もでない…

心配になった私は近くまで探しに行った。

アパートから歩いて15分くらいにある駅。なぜか人だかりができている。近付いてみると車と歩行者が事故をおこしたらしい。ちょうど救急車で歩行者が運ばれるところだった。私は

「気の毒に」と思いながらも彼を探しにいこうとした時 私は目を疑った。救急車に乗せられているのは彼だ。顔は血だらけで素人の私がチラッとみただけでもわかるくらい瀕死の状態の人。でもあの身長 肉付き 服など間違なく彼だ。

私は我を忘れて走った。

やっぱり彼だった。

普段無口な彼が

「痛い…痛い」と言っている。私はどうしたらいいかわからず頭が真っ白になっていた。

とにかく救急車に乗り込み一緒に病院にいった。病院についてすぐに集中治療室に運ばれる。その時彼が私に

「お〜。すまんすまん。待たせちゃったな。すぐ戻るはずだったんだけど。もうすぐ戻るからもうちょっと待っててくれ〜。」といつもの優しい笑顔を見せて言った。それと同時に私に一つの鍵を渡した。

それから彼は運ばれて行った。


9時間後…彼はしんでしまった。

人間はこんなにも簡単に死んでしまうのだろうか…

そう思った瞬間に涙があふれだしてきた。とまらない涙…いくらふいても無限にでてくる…



葬式の日。棺の中の彼はなぜか笑っているようだった。

葬式が終わってまだ頭が真っ白な私…

家に帰る途中 私は近くの公園のベンチに座った。そのときポッケからなにかが落ちた。鍵だった。彼が最後に私に渡した鍵…

なんの鍵だろう。

私はなんの鍵か調べた。すると彼が事故をおこした所の駅のコインロッカーの鍵だった。私は駅に向かいコインロッカーを開けた。すると中には小さな箱が一つと紙が一枚。

取り出してみると紙は手紙のようだ。

私は読んだ瞬間その場に泣き崩れた。


「誕生日おめでとう!なんか俺あんま喋ったりするの得意じゃないから手紙にしてみた。お前と付き合ってもう2年になるな!お前冷めたりしてないか?ゆっとくけど俺は一生お前と一緒におるつもりぞ!普段こんな事恥かしくて絶対言えないけど…愛してる。もうお前しか見えない。だから…結婚しよう!俺が一生お前の事守っていくから!約束する! …大好きだ。」

小さな箱の中にはペアリングがはいっていた。

私はもう壊れてしまうくらい泣いた…


普段無口な彼が一生懸命書いた手紙…こんなに私の事を思ってくれていた彼…

私も大好きだよ。

愛してる。


そうつぶやきながら私はペアリングを指にはめた。彼のリングは今ネックレスにしてずっとかけている。




ねぇ?きこえる?

私 ずっと愛しつづけるよ。

いつか絶対結婚しようね。だって約束だもん。

約束は守るためにあるんだよ。


大好きだよ。



そうささやきながら私の目にはまた涙があふれてくるのだった…

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