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その34 胸に鳴り響くティンパニー

 あれから、数日後――。


「それじゃぁ、世話になったな、院長さん」

「本当にお身体はもう大丈夫なのでしょうか?」

「もうバッチリよ。ありがとさんな」

「急にみんないなくなってしまうのは、やはり寂しいものですね」

「ああ、そういえば、見習いだったあの娘は?」

「何日か前、仲間たちと共に、旅立って行きました。あなたのことをすごく心配していたのですが……」

「そっか。俺はずっと寝てたからな。まぁ、お互い旅してりゃ、どっかで会うこともあるだろうさ」

「人は誰もが、何かしらの使命を背負っているものです。あの子も、また」

「あっ、そうだ。あの小僧はどうした? まさか、やられちゃいないよな?」

「彼にも迎えの者が来ました。黒い服の優しそうな若い紳士の方が」

「そういや、GPS搭載だったっけ。いや確か、粉々に砕いちゃったけど、あれ大丈夫だったンかな。まぁ、いいか」

「じーぴーえす……?」

「いあいあ、こっちの話。……まぁ、なんと言うか、その、街中が大変そうだけど、これで良かったのかな?」

「ええ。こうして、街の大聖堂に、みんな戻ることが出来ました。必ずしも、悪しき者たちだけではない、心正しき者たちは確かにいるのです。そう、あなたのように」

「なはははー、照れるなぁ」

「これからも手を取り合って、みんなで頑張りますから」

「おう。……んじゃ、行きますわ。あいつに追いつかないといけないし」

「どうか、お気をつけて。神のご加護がありますように」




 少しずつ活気を取り戻していく街の中を、進む。

 途中、とある商店で足を止めた。

 戸は閉まったままだった。中には誰も居ない。

 主を失ったその店は、そこだけが街から切り取られ、時が動いていないかのようだった。

 山で摘んだ花の一輪を、窓枠にそっと置いた。

 しばらく立ち尽くしていたが、やがて歩き出した。




「あのー……今日こそは、お船に乗せてくださーいです。お金なら金貨いっぱい持ってるですよー。……え、ダメです? なんでです? 大人と一緒じゃなきゃ? んもぉ! あの頃のチビッ子じゃないのですよ! そりゃぁ、確かにまだまだ発展途上ですが、なんというですか、こう、成長期真っ盛りだからこそ将来へ無限の可能性ってもんが、って、こらー! なんで無視して行っちゃうですかー! むきー! ぷんぷんッです!」

「まぁまぁ、嬢ちゃん。そんなにぷりぷりしなさんなっての。可愛い顔が台無しだぜ。そういうときは……、一曲どうだい? せっかく旅をするンなら、楽しく行かなきゃな」

「……ふふふ。なんです、あなた。この魔法勇者の仲間になりたいですか? 辛くて険しい長旅になるかもですよ? この間違った世界の真実を知るために」

「まかせとけ。旅ならお手の物。なんせ俺は、流浪のうたびと。さすらいの吟遊詩人なのさ」


 第4章 完。

































「…………おい、起きろ」

「……ぐーすかぴーぴょろ……zzz」

「おいこら、さっさと起きんかーいッ!」

「……はびゃッ? ボク、もう食べられな~い!」

「寝ぼけるな! ったく、ずいぶん捜したんだぞ。お前まだそんな所にいたのか!」

「イタタタ。まだってなにさね! アンタらが入れたんでしょぉが! このボクを、空きビンなんぞに~ぃ!」

「だから今、出してやっただろぉが」

「……フーンだ。もうボク知らない。勝手にひとりで、どこへでも行っちゃえばいいんさね~だ」

「ふ・ざ・け・る・な!」

「あだだだだ! とれちゃう! 羽根とれちゃうからぁ! 引っ張んないでぇええ!」

「ふん。アイツと同じ名前のお前を放っておけるワケないだろ」

「一緒にいてほしーなら、そう言えばいいのにさ。ったく、素直じゃないん……だから……?」

「何か言ったか? って、おい、何を見ている?」

「いや、あそこ。あの窓のところに、ボクと同じコがいるのよね…………ねぇ!」

「あ、こら! 勝手に飛び回るなッ」

「こんにちは。キミは、誰の、妖精さん?」

「……わからない。なにも思い出せないの……」

「え、なにお前。いつの間に増殖したッ?」

「もぉ、ちがうってば。たぶん、このコは、別の誰かのサポート役さねぇ。はぐれちゃったのかな~?」

「花なんか抱いちゃってさ、おしとやかで、ずいぶん可愛らしいじゃんか。お前と違って」

「おだまりッ! ……ねぇ、キミさ、行くあてないなら、ボクたちと一緒に行く?」

「……いいの?」

「その一輪、キレイね。似合ってるわよ」

「……ありがと」

「ねぇ、いいよね?」

「ふん。一匹も二匹も同じようなもんだ。勝手にしろ。ほら行くぞ、フィーア!」

「もぉ、マオったら。……ほら、キミも一緒に行こっ!」

「……うん!」

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