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異世界は計画的に  作者: にゃおぞう
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第4話 魔の森へ

 昨日のキャロルとの話から、今日は森の入口で戦闘の雰囲気を掴む慣らし運転的な冒険をする事になった。というのも、本日の参加者は俺・エリス・キャロルの3人だけであり傭兵団が居ない為本当に戦えるか怪しいパーティーなのだ。

 俺単独でいうと、傭兵団の個人と対決した場合負けない程度の強さは証明している。逆に女性陣2人の、戦闘というか普通に話している所しか知らない訳だ。不安以外の何物でもない。

 という事もあり、未知の領域に於いて敵だけでなく自分たちの能力の情報が欲しいところだ。そこで昨日少し練習をしてみた、鑑定魔法の出番な訳なのだが……。

 この世界での魔法は、基本的に何でも出来るが生物の本能というか深層心理などの強い抑制がかかる物などが邪魔をして形にならないものもある。ならば俺はというと、魔法人形であり抑制が無いので何でも出来るはずである。

 前の世界でよく見た、ゲームのメニューやマップなどの情報を見られる物を鑑定魔法として創造してみたのだが時間制限有りの常時発動型になってしまった。

 イメージ不足ということだろうか、欲しい情報も確かに見られるのだが周囲の見なくても良い情報まで魔法を解除するか時間が来るまでずっと表示されるので目が痛い。

 人形なので、実際に痛い訳ではないが情報処理が追い付かなくて頭が痛いイメージである。時間が無かったので、あまり改善は出来なかったのだがさすがに周囲の建物などに加工された木材やらその辺の石や砂などを省く事には成功したので今回はこれで善しとする。

 まずは味方の情報から見てみよう。


 エリス・フォード・アシュレイ

  Lv:3

  技能:逃走Lv5 隠密行動Lv1 礼儀作法Lv5

  種族:人間

  性別:女

  年齢:12歳


 キャロル・カース

  Lv:8

  技能:火魔法Lv4 風魔法Lv4 魔導Lv5 鑑定Lv3

  種族:人間(ハーフ)

  性別:女

  年齢:22歳


 さていくつか気になる点があるが、まずエリス戦闘スキル無いじゃん!!

 そしてキャロルさんハーフって何!?とりあえずエリスは、戦力では無いという事が事前に判明しただけでも良かったと言える。

 どうもエリスのスキルは、宝物庫掃除から逃げたり隠れたりして得たスキルではないかと思う。

 キャロルさんのハーフが気になるが、スキルを見る限り戦力と考えて良いようだ。

 段取り良く行く為には、俺が前衛でキャロルさんが後衛でエリスにはいつでも逃げられる距離をキープして貰うしかなさそうだ。

 さて俺はというとだ。


 リョウ

  Lv:50

  技能:全魔法Lv10 剣術Lv3 身体強化Lv3 魔力吸収Lv10

  種族:魔導人形

  性別:男

  年齢:674歳(外見は16~18歳程度)


 年齢が見られたのは意外だったが、Lvの低い剣術と身体強化は後から付いたんだろうか。

 アレックスさんとの戦いで、身に付いたにしてはLvは高い気もする……。

 Lv3の段階で、傭兵団の団長的なアレックスさんよりも戦えるという事は一般的な実践レベルという辺りが3程度なのだろう。

 起動から特に何もしていないが、キャロルさんの鑑定で膨大な魔力が表れたのは恐らく魔力吸収の効果だろう。この世界では、大気中にも微量の魔力というものが漂っているらしくそれを摂取していたようだ。


 「さてエリス様、戦闘経験が無さそうなのですが本当に森に行かれるのですか?」


 「当たり前じゃない!私はどうしても行かないといけないのよ……」


 「何か理由があるようですが、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


 「……」


 エリスは黙ってしまった。

 言いたくなければ、言わなくても良いしただ守り抜く事には変わりはない。

 暫くしてエリスから出た答えはとてもありふれたものだった。


 「15歳の誕生日に、全く会った事が無い男と結婚させられるの。それまでに、冒険者として実績を残して有能さを示せば結婚を取り下げて自由になれるのよ」


 どこにでもある政略結婚だった。王都の、それも政権にすら関わるような重役の息子と話がついているらしい。婚約者同士で、親しいとか話したりする間柄であれば話は変わるかもしれないが見たことも無い人と結婚となるとわかる気もする。

 まぁ本当に魔物の森開放だけで、そんな重役の息子との婚姻を破棄してくれるのか怪しいところではあるが話は分かった。


 「エリス様。焦る気持ちはあるかもしれませんが、なるべく前に行かないようにして下さいね」


 「うぐぅ……」


 天真爛漫というか猪突猛進というか、いう事を聞かなそうなので改めて釘を刺しておいた。


 「キャロルさんは、恐らく魔法は問題無いと思いますが近接戦が不得手だと思います」


 「えぇ、その通りですね。魔法の中には、近接用の魔法もありますが戦闘中に集中して魔法を使うとなるとやはり中距離から遠距離戦闘がメインになると思います」


 出発前のミーティングでは、どうやら鑑定結果の想像通りの布陣になりそうだ。後は最低でも死なないように、ポーションでも数本持って行けば外周程度なら大丈夫だろう。

 訓練所にある装備の内、実践的な装備を借りて行く事にする。

 剣はダガーの様な小剣と、一般的なブロードソードの2種類あったので1本ずつ持って来た。盾は、一応置いてあったが魔法の邪魔になりそうな大きさの物ばかりだったので除外した。

 鎧は軽鎧のレザーアーマーしか無かったが、動きやすそうだったので借りて来た。

 エリスは、いつでも逃げられるようにダガーとレザーアーマーのみだ。キャロルさんは自前のがあるらしいので見ていない。

 各自ポーションを、2つずつ腰袋に入れて出発する事にした。


 「森の入口までは、どれくらいかかるんですか?」


 「一応はどこからでも入れはするけども、きちんとした入口となるとこのペースで歩いて1時間ってところですね」


 このペースでとなると、大体4~5キロといったところだろうか。意外と近い感じがする。

 一応道は、整備されてる程ではなかったが冒険者達が決まって通るので雑草などが溢れてる事は無かった。しかし、馬車などが通れるような状態ではない。狩猟した物はどうするのだろう・・・。

 道中には、結界が綻んでいる場所も特に見当たらずいきなり魔物と戦闘というイベントは発生しなかった。


 魔物の森の入口には、脇に頑丈な造りの監視小屋があった。数人の見張り役が、昼夜交代で常に見張っているようだ。

 この監視小屋では、脱走する魔物の監視は勿論のこと森に出入りする冒険者などの記録も行っている。

 長時間出てこない時には、捜索隊を編成し生死の確認及び遺品の回収などをするのだ。


 「さて侵入登録も終わりましたし、早速森に入ってみますか」


 「望むところよ!」


 「エリスさんが一番元気そうだけど、突っ込んで行かないで下さいね」


 キャロルさんが呆れたように諫める。


 森に入ってみるが、さすが開拓前の森という感じですぐに陽の光が余り届かない状態になってきた。森の外同様に、足場は一本道という感じに土が剥き出しになっている。

 10分程歩いただろうか、多少木々が開けた場所に着いた。左右に分かれているのだが、ここからは道が全体的に広く切り拓いているようだ。大型の強い魔物が、監視小屋の前まで出て来難くする工夫らしい。

 

 「今日はまず左という事で良いですか?」


 とりあえず、反対意見も出なかったので左手に進む事になった。

 分かれ道に差し掛かった瞬間、ガサっという物音が聴こえ警戒をすると前方から目を赤く光らせた狼のような生物が出て来た。すぐに身構えたが、向こうは踵を返し森に戻って行った。

 安心するのも束の間、先程の狼はただ仲間を呼びに戻っただけだった。

 予定通り、魔物の戦力を調べてみる。


 ウェアウルフ

  Lv:4

  技能:噛みつきLv2 引っかきLv2 人化Lv-

  種族:獣魔(狼形体)

  性別:男

  年齢:30歳


 ウェアウルフ×3匹

  Lv:2

  技能:噛みつきLv1 引っかきLv1

  種族:獣魔(狼形体)

  性別:男×2匹 女×1匹

  年齢:12歳


 親子かな?と思ったが特に関係無いのでスルーしておく。

 レベルを見る限りでは、1対1ならエリスでも何とかなりそうだが危険な事はしないようにする。

 成体っぽい1匹の合図で、若いウェアウルフが飛び掛かって来る。2匹は剣で打ち払い、エリスに向かう前に止められた。一瞬後ろを振り返ると、キャロルさんが放った風魔法で木に打ち付けられていた。

 どうやら抜けられても、このレベルなら問題なさそうなので打って出てみる。

 ウェアウルフの防御力が高い、という訳では無いとは思うが突撃して剣で切り付けてみると斬撃というより打撃になっていた。だが吹き飛んだウェアウルフは、血を吐き出して倒れており起き上がって来なかった。

 一瞬で、行動不能にされた手下?達を見て全力で逃げようとしていたウェアウルフだったが咄嗟に足止めをしようと魔法を放っていた。

 先程のキャロルさんと同じように、風魔法で脇の木へと吹き当てようとしたが加減を間違えたらしい。魔物は粉砕し、魔法が当たった木も命中部分が破裂して倒壊してしまった。

 小さいながらも一応は魔物、ということでキャロルさんに魔核を回収して貰い一旦先程の分かれ道部分の広場まで戻って来た。


 「今みたいな魔物がたくさん出てくるんですかね?」


 「そうみたいねぇ。でエリスさんは大丈夫?」


 エリスは先程の戦闘に緊張したのか、少し青ざめた感じで無言になっていた。


 「リョウ!何よあれは!!魔物が粉々じゃないのよ!!!」


 どうやら、戦闘に怯えた訳ではなく俺の魔法に恐怖を感じたらしい。

 すみませんと謝りながら、魔法の制御も練習しないとなぁと反省を重ねていた。

 

 広場で少し打ち合わせをし、今日は一度家に戻る事にした。今日明日で、すぐに15歳になる訳では無いので魔法制御の練習がてらエリスも特訓するらしい。先程の魔物を見て、思うところがあったようだ。


 明日は、キャロルさんに相談してみよう。

 そう予定に書き込みながら、魔物の森を離れ家路に就くのだった。

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