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異世界は計画的に  作者: にゃおぞう
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プロローグ

 俺は龍ヶ崎一篤。今年で30歳になってしまうがまだ20代だ。


 ぶっちゃけどこにでも居る、冴えない日本人営業マンだった。

 ウチの会社の方針は珍しく、メインの商材というものは各個人によって異なる。

 『コスモエージェント』という怪しい名前ではあるが、中身は営業マンが多数集まった情報交換の場という利益を追求するという会社でもない。要は会社の審査に通り、発行して貰える社名入りの名刺が一種のステータスであり信用の道具になるという訳だ。

 ある意味フリーの営業職として、出勤日数や出勤時間ですら決まっていない自由人である。


 時間こそ定まってはいなかったが、一般的な社会人の知り合いと時間を合わせるために月から金10時から18時程度を目安に仕事をしていた。

 とある日曜日、高校からの友人と外食をしたりゲームセンターへ行った日の夜に変な夢を見た。普段目が覚めると、夢は覚えてない事の方が多い俺だったのだが不思議とその夢は部分的ながらもはっきりと覚えていた。日中に遊びに行く時の記憶が影響したのだろう。


 新聞を読みながら、焼いた食パンにバターを溶かして食べていた。食後にコーヒーを飲みながらテレビを見ていると、星座占いというものが流れていた。

 一般的な星座の占いで、蛇使い座というものが入ってない占いだった。俺は11月生まれの蠍座だったので、自分の占いを見た訳だったのだが内容が妙に説明っぽく印象的だった。


 『遊びに行く前に静かな喫茶店でモーニングセットを頼むと良いでしょう。ラッキーアイテムはファンタジー系のライトノベルです』


 占いとか全く信じない性格ではあったが、ご飯は食べてしまったけどラノベは持っていたのでコートの内ポケットに1冊入れて置いた。

 その日の営業回り予定地へとブラブラ歩いていた所、脇道からサッカーボールが跳ねてきて子供が車道へ飛び出して行きトラックに轢かれて帰らぬ人となった。ボールと子供が出て来た道を、振り返って見ると喫茶店があった。更にラノベを選ぶ時間が無ければ、この場を通り過ぎた後に事故が起きたであろう時間差があった。これはまさかと思った時ふと目が覚めた。

 何だ夢かと思いながらテレビをつけると、既視感のある占いがやっていた。蠍座の占いを見ていると、『遊び』が『仕事』に変わってはいたがそれ以外全て同じというものだった。

 普段占いを信じていないはずの俺が、その時は何故か子供を助けて人気者になる人物に自分が選ばれたのだと思い込んでいた。

 トーストとコーヒーという朝食にはせずに、営業鞄にラノベを入れ例の場所まで行く。いつも通っている街道から外れた先に、綺麗ではあるが客が入っていない喫茶店があった。

 どうやら昼間は喫茶店で、夜は酒場になるというタイプの店らしい。店の外にも2卓テーブルはあったが、まだ春先の為に椅子はセットされていなかった。店内には入口にレジがあり、奥にはカウンター席手前に集団用のソファー席などがあった。

 とりあえずカウンター席につき、モーニングセットを注文した。ソファー席側には大きな窓枠があり、カウンター席からも外が十分に見える造りになっていた。向かいには案の定というか、小さな公園があったので恐らくはそういう事だったのだろう。

 暫くするとセットが出て来た。この店のモーニングは、エッグサンドとかトーストタイプではなくパンケーキタイプだったらしい。小さめのパンケーキ2枚に別皿で生クリームとメープルシロップ、更にサラダとデザートにバニラアイスまで付いていた。

 さて夢の中だったとはいえ、例の事故発生は9時半頃だった。今はまだ8時半であり、公園にも誰も居ないので安心だろう。朝食を堪能していたが、パンケーキはふっくらモチモチしていてとても美味しい。サラダも新鮮でドレッシングにも種類があり、バニラアイスは鉄板の旨さだ。時間限定ではあるがこれでワンコイン500円とか、何故誰も居ないのであろうか不思議である。

 そうこうしている内に、公園に子供が一人で遊びに来ていた。一応の警戒をしながら、ラノベを読んで時間を潰す。会計を済ませて、公園に注意を向けていた所ボールが柵を飛び越えて行くのが見えた。子供を引き留めて、俺が取ってくるからと待たせるだけの簡単なお仕事である。と思った矢先、公園の出入口からではなく子供まで柵を飛び越えて出て行ってしまった。

 急いで追いかけるが、公園の出入口から例の街道までは50メートルはあるのだが飛び出した場所からは10メートル程度しか無い。全力でもやはり飛び出しは阻止できなかったらしく、やけに体の動きが遅く感じたが少女を抱きしめて勢いもそのままに反対側の歩道に向けて飛び込んだ。


 『いやぁ、まさかこの時代に生きる若い男性が人助けとか考えるとは思わなかったよぉ』


 いかにも天使である、と言わんばかりの白いヒラヒラした飾り付けのワンピースっぽい姿の女性が目の前でそんなセリフを言っていた。というか頭上に漫画やアニメで見るような、光の輪が浮いていたので確実にそうなのだろう。気が付くと俺は、辺り一面真っ白な空間の中にその女性(?)と居た訳だ。


 「俺はどうなったんだ?」


 とある意味わかりきった質問をしてみる。


 『寿命では無かったんだけど、死んじゃったみたいでねぇ。元の世界には帰れないけども、優先的に転生させる許可が出たので希望を聞こうかなぁと』


 これはもしかして!よくある転生テンプレの手違いで死なせちゃったからチートを与えて異世界で頑張れよ的なアレか!?ってまずは落ち着いて聞いてみよう。


 「どんな希望でも良いのか?」


 『完全にこちら側のミスだから余程の事が無い限りは希望に添えると思うよ』


 やはりテンプレのようで、ほぼ自由に優遇されるらしい。


 「魔法のある世界には行けるのか?というか自分が魔法の才能に溢れる存在とかに生まれ変われるのか?」


 『ん?魔法にも色々あるけど、君の居た世界の創作物にあるような魔法がある世界ならいくつか候補があるね。それだけで良いの?』


 「そうだなぁ、病気とは無縁な丈夫さだったり魔法を使えても戦士の様に筋力にも優れているとか」


 『う~ん、候補は減るけどそれも可能ではあるね』


 「後お金に困らない様な状態でモテる存在って候補はある?」


 『モテるって概念がよくわからないけど、人気者って感じで良ければ1つ候補はあるよ』


 「じゃあそれでヨロシク!」


 『今までの記憶とか、残ってはいると思うけど転生先で同じ結果を得られるかはわからないから注意してね』


 「あぁ、それは何かで見たことあるし大丈夫だと思う」


 『それは良かった。それと例の原因の少女に関してもサービスで転生してあげるから仲良くしてあげてね』


 「まぁ仲良くする分には問題無いけど、目印とかあるの?」


 『あぁそうだよね。見た目をあの少女と同じに上書きしておくから会えば思い出すと思うよ』


 「上書きって、そんな事まで出来るのか?」


 『まぁこう見えて、全能神に次ぐ上級神だからねぇ。任されてる世界に、多少力を加えてもどうにかなるものさ』


 何やら親しみ易そうな、サッパリとした性格っぽいこの方は上級という範囲のトップの女神様だったらしい。


 『それじゃあそろそろ、新しい世界でも頑張ってね~……』


 そこで再び意識が途切れてしまったが、チートを手に入れた異世界生活に胸躍らせる俺であった。

初投稿となります。

文才とか小説の勉強をしたなどは一切ないので、見苦しい点は多々あると思います。

完全に自己満足的な物ではありますが読んで意見なども聞かせて頂けたらなぁと思っています。

定期的に更新して行けるように頑張ります。

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