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兜の将軍と亡国の姫と補佐官と  作者: きりんのつばさ
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嫁入り当日、その2

今回はラウラ視点ですよ話が進んでいきます。ちなみにラウラの本名はラウラ=ファリドです。

そして私はジェンルさんという執事に屋敷を案内された。さすが国一の将軍であるだけ屋敷はかなり大きかった。ただ大きいだけではなく、花や木などが綺麗に並べてあり、きちんと手入れがされていると思った。

(なんか獅子と呼ばれているわりには大人しい人なのかな?私の国の軍人なんか自慢ばかりだったのに・・・意外と悪くないかも)と思いながらも1つだけ疑問があった。

「ジェンルさん、でしたよね?」

「はい、ラウラ様どうかされましたか?」

「あの・・・ネルフェ将軍なんですが・・」

「ローザリアの獅子らしくないですか?」

「はい・・大変申し訳ないのですがイメージとあまり似てないので」

「ははっ、確かにそうでしょうね。ローザリアの獅子なんてあだ名が付いていますが、あの日とほど優しく人はいませんよ。私達使用人にも横暴にもならず、将軍という立場ながらも戦争を誰よりも嫌う。あの人はそういう人ですから」

まぁどうしても敵国の人からはイメージが先行してしまうのでしょうがないですが、とジェンルさんは和かに話してくれた。確かにこの屋敷で働いている人達はみんな笑顔で働いていた。

「ところで何故将軍は兜をつけているのですか」

私は彼にあった時もフルフェイスの獅子をあしらった兜をつけたままだった。噂を聞くと戦争中は勿論、調印式や会議、いかなる時でも外さないというのでローザリア七不思議の一つとされているらしい。将軍と長年いる彼なら知っていると思い試しに聞いてみた。

「あれはネルフェ様なりの気遣いなのですよ。昔、戦いでお顔に大きな傷を負ってしまいました。しかもその傷が酷くてあまりにも人に見せれたものでは無いとお考えで、それ以降兜を取られないのです」

「そうなのですか?」

「はい。ラウラ様も出来れば、このことは触れないでください。ネルフェ様もあの傷以降、人を近くにおこうせず、近くにいるのは、王様とリセさんと私ぐらいですからね。そこはどうかよろしくお願いいたします」

「分かりました」

執事の方がそこまでいうのならそうなんだろうと私は思った。そしてもう一つの質問をした。

「ネルフェ様の隣にいた女性は誰ですか?」

「彼女はリセさんです。彼女のことはこれから沢山の時間がありますので、本人に聞いてみてください」

「分かりました」

(多分、リセさんってネルフェ様のことが好きなんだろうな。ネルフェ様を見る目が熱いし、まさに恋する乙女というのかな)と思いながら彼女は仕事で彼を補佐官として支えているのだからすごい。

「さて、ラウラ様。こちらが貴方様が使う部屋となっております。もしなにかご不便がございましたら、すぐにお申し付けください」

とジェンルさんに案内された部屋は私が王宮であてがわれた部屋よりもかなり広かった。

「こちらの部屋は昔誰がお使いになられていたのですか?」

「こちらはネルフェ様のお母様がお使いになられた部屋で、お母様は郊外の別荘にお住まいになられています。私は少し席を外しますが、もしご用件がございましたら、外に女中がいるのでお声をお掛けください。では」とジェンルさんはそう言って、部屋を出ていった。


私は荷物を置くと窓を開けて、ベランダに出た。ベランダからみる景色は天気のおかげもあり、とても良かった。これから挨拶まで1時間ほどある。さて、それまでどうしようか?いざ考えてみるとほとんどやることがなかった。ドレスも一着しか持参しておらず、支度もすぐに終わる。

(お母様はどうしているのだろうか?)

その考えが頭をよぎった。元はといえばこうなったのも母や姉達のせいもあるのだが、どんなことがあっても肉親なので、一応心配だった。お母様のことだから、なんとかしてそう。姉達はどうでもいいかな。



コンコン

「はい?」と反応すると

「失礼します。私はローザリア国将軍補佐官リセと申します。中に入ってもよろしいでしょうか?」

「あっ、はい。どうぞ」

カチャ

「失礼します。ラウラ様。改めて自己紹介をさせていただきます。ローザリア国将軍補佐官リセと申します」

と入ってきたリセさんを見て、すごい人だと思った。軍服をきちんと着こなしながらも、美人という印象があった。金色の絹のような髪、ぱっちりとした両目、顔のすべてのバランスが整っている。体も高身長で、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。普通にどこかの姫と言われてもおかしく無い。こんな女性が毎日近くにいてネルフェ様は何も思わないのだろうか?個人的に新たな疑問が増えた。

「私はアルシア国王女、ラウラ=ファリドと申します。この度はこのような待遇をしてもらい感謝いたします」

「いえ、将軍の伴侶となる方に下手な待遇はできません・・できないです。はい」

(あ、今なんか考えたな)

「にしてもネルフェ様はお優しいのですね。先ほどジェンルさんが嬉しそうにおっしゃっていましたので」

「ですよね‼️いや〜この想いを共有できるなんてまさか思ってなかったですよ‼️ネルフェ様ってふとした際の優しさがたまらないん・・・失礼いたしました」

(よほど好きなんだろうな)


続きます

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