表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

24時間後に海を断つ私

作者: 土田土
掲載日:2026/07/08

 潮風が気持ちいい。海が風になびく音が聞こえる。瞳を開けると日差しが目に刺さる。太陽の周りが虹色に輝く。思わず手で影を作る。落ちてきそうな大きい雲も、太陽にしがみつく。


 砂浜を踏み締める。足を取られないよう力強く。肺いっぱいに空気を溜める。孤独も不安もその空気に混ぜ込み、思い切り吐き出す。


 空高くに鳥が羽ばたいている。優雅に飛んでいる。真似をして腕をひろげる。風を感じる。腕を広げ少し歩く。徐々に徐々に歩幅を広げる。右足で地球を踏み抜く。体が空をかける。0.1秒の空の旅が現実を忘れさせてくれる。


 海が囁く。声を聞き釣り針を海に向かって放る。釣り針が海に落ちぽちゃんと情けない音を出す。海との対話。孤独を癒す。釣り針に重さがのる。命をかけて戦う。指先でいとを読む。釣り針が逃げる。逃がさないように指で強く引く。勝負に勝った。指がキリリと痛む。強い痛みに喜びを抱く。数日の命の保障に心が歌う。


 太陽が色を変えた。月から逃げるように、顔を紫にそめて逃げていく。


 夜空が照らす。星のひかりであなたがみえる。木が弾け音を立てる。煌々と放つ光が幻想を消す。影が揺れる。膝小僧と対話する。同じ境遇の君を抱きしめる。体の力が抜け、夢に逃げる。


 昨日逃げたことが恥ずかしかったのか太陽が顔を赤らめて登場する。もう長くあっていない。共に過ごしたあの人と重なる。太陽が守ってくれる。


 遠くを眺める。いつもと違う海。目に映る。希望が。ずっと待っていた。待ち焦がれていた。諦めていた。長かった日々を思い出す。もう、涙が出る水分もない。細くなった腕で手を振る。しゃがれた声で叫ぶ。届け。見えてくれ。頼む。太陽が髪を照らす。光が届く。やっとだ。やっとなんだ。波に逆らいこちらに来る。人の声が聞こえる。


「助かった。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ