第8話 鉱山町グスタフでの勝利
戦いは混戦となった。
ガレスは盾を壁とし、レオンはその盾を軸に、素早く正確な剣撃で魔物を倒していく。
キースの矢が絶え間なく援護し、アーサーは詠唱の合間に防御結界を張って仲間を守った。
派手な一撃必殺の魔法も、最新鋭の武具もない。
しかし、彼らの連携は、まるで一つの生命体のようだった。一糸乱れぬ動き。
それは、苦難を共にし、互いの呼吸を骨の髄まで理解した者にしかできない業だった。
夜明けが近づき、東の空が薄明るくなり始めた頃、最後の魔物がレオンの剣の下に倒れた。町は静寂に包まれた。
疲労で足元がふらつく者もいたが、誰一人として深手を負っていなかった。
息を弾ませながら、ガレスがレオンの肩を叩いた。「……どうやら、俺たちのやり方も、悪くねえみてえだな」
住民たちが、怯えながらも感謝の言葉を繰り返しながら集まってきた。
その中に、鉱山町の代表らしい老いた坑夫がいた。
彼はレオンの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「……勇者レオン様、そして皆様。この命の恩、一生忘れません。王国も、あの『勇者様』たちも見捨てた我々を……」
レオンは老坑夫の手を握りしめた。
「あなたたちを守るためにここに来た。それだけです」
東方の鉱山町グスタフでの戦いは、こうして幕を閉じた。
しかし、この小さな町での勝利と、王国と勇者パーティによる「見捨てた」の事実は、民衆の間で燎原の火のように広まっていく。




