第4話 新たな旅立ち
レオンはゆっくりと席を立ち、2階の自室に向かった。荷物は少なかった。
初めてこの宿に泊まった時と同じ革のリュック1つに、全てが収まる。
彼は部屋を出る前、ベッドの傍らに置かれた小さな木彫りの人形に手を伸ばした。
これは旅の最初の年、彼が救った村の少女がくれたものだ。
人形は粗削りだが、真心が込められていた。
食堂に戻ると、パーティのメンバーたちはまだそこにいた。
彼らはレオンが何か言うのを待っているようだった。
「これまで、ありがとう」
レオンは意外な言葉を口にした。
「魔王討伐という同じ目標に向かって、これまで共に戦ってこられたことを、私は誇りに思う」
セレナの目に涙が浮かんだ。エルヴィンは拳を握りしめ、リリスは初めてナイフをしまい、アルバートは深くうなだれた。
「だが、これからはそれぞれの道を行こう」
レオンは笑顔を見せた。それは彼らが長い間見ていなかった、初心の頃の純粋な笑顔だった。
「君たちは君たちの『効率的な魔王討伐』を」
レオンは窓を見た。窓の外では、朝日が徐々に街を照らし始めていた。
「私は、あの木彫りをくれた少女の村に、まず寄り道しようと思う。そして、旅の途中で出会った、助けを必要としているかもしれない人々の元へ。魔王を倒すことは確かに重要だ。だが、その途上で見て見ぬふりをしてきた小さな悲鳴に、もう耳を塞ぎ続けることはできない」
「道は違えど、たどり着く場所はきっと同じだ。では……またいつか、どこかで」
彼は背を向け、宿の扉を開けた。冷たい朝の空気が流れ込み、食堂の暖かな空気を揺らした。




