第17話 最後の審判
大聖堂の扉が轟音とともに吹き飛んだ。
ローレンツィア商会の私兵百人以上が、怒涛の勢いでなだれ込んできた。光り輝く鎧をまとった彼らは、一見すると正規兵のようだったが、その盾には商会の紋章が刻まれていた。
「逃げろ!」
影のように現れた集団のリーダー、ミロが叫んだ。
影の民のメンバーが素早く一般市民を避難させ始めた。
枢機卿ルシウスが高笑いした。
「愚か者め!真実など、力ある者の前に意味をなさない!」
レオンは剣を抜いた。
かつて王から授けられた聖剣ではなく、普通の鋼剣だ。
だが、その刃にはかつてない決意が宿っていた。
「ガレス!右翼を!」
ガレスが咆哮を上げ、大斧を振りかざした。
商会の私兵3人が一撃で吹き飛んだ。
「アーサー!左から魔法が!」
アーサーが杖を掲げ、複雑な詠唱を始めた。
「我が古き知識よ、偽りの者に審判を!」
雷撃が大聖堂を走り、5人まとめて私兵を倒した。
キースは既に柱の影に身を隠していた。
彼の矢は音もなく飛び、私兵の指揮官たちの喉を次々と貫いた。
「一、二、三……」彼の呟きは、倒れた仲間たちへの鎮魂の祈りのようだった。
レオンは正面から敵軍に突撃した。
彼の剣捌きは、かつての華やかさはないが、より実践的で効率的になっていた。
一突き一閃に、命がけの覚悟が込められていた。
「お前たちは、何のために戦っている!」
レオンが叫んだ。
「金のためか?権力のためか?」
私兵の一人が動揺した。
その男の鎧の下には、貧しい農民の服が見えていた。
商会に家族を人質に取られ、やむなく戦っている者たちが少なくないことをレオンは知っていた。
その隙に、レオンの剣が彼の武器を弾き飛ばした。
「逃げろ」
レオンは彼に言った。
「家族の元に帰れ」
戦いは十分間続いたが、レオンたちは圧倒的不利だった。
4人対100。
数学的には勝ち目がない。
しかし、彼らが守っていたのは自分たちの命だけではなかった。
大聖堂の外には、まだ避難しきれていない市民がいた。
そして何より──真実そのものが、この場に危険にさらされていた。
「レオン!背後!」
アーサーが叫んだ。
レオンが振り向くと、枢機卿ルシウスが光の槍を構えていた。禁術だ。
聖なる力を歪め、破壊のエネルギーに変える禁忌の魔法。
「消えろ、真実などと呼ぶ戯言とともに!」
光の槍が放たれた。
レオンは避けられないと悟った。
その速度と威力は、通常の魔法を遥かに超えている。
その瞬間、ガレスが彼の前に飛び出した。
「ガレス!」
光の槍は戦士の鎧を貫き、背中から飛び出した。
ガレスは膝をついたが、倒れなかった。
「へへ……これくらい……」
ガレスが血の気の引いた唇で笑った。
「愚かな!」
ルシウスが次の槍を構えた。
その時、大聖堂の外から新たな轟音が聞こえた。




