第14話 精霊たちの解放
戦いの最中、レオンは気づいた。
商会の男たちのうち数人が、聖域の奥へと逃げようとしている。
彼らは何かを運んでいる——小さな箱を。
「アーサー!あの箱を!」
アーサーが杖を向ける。
光の鎖が飛び、箱を運ぶ男の足を縛り付ける。
箱が地面に落ち、蓋が開いた。
中からは、無数の『歪みの木の実』が転がり出た。
それらは不気味な紫色の光を放ち、触れた地面を腐食させていく。
「回収しろ!」商会の男が叫ぶ。
しかしその瞬間、聖域全体が震え始めた。
囚われていた精霊たちの光が一斉に輝きだし、苗木から伸びた無数の根が暴れだした。
歪みの木そのものが目覚めたのだ。
「バカめ!制御が効かなくなった!」
商会の男が慌てふためく。
巨大な根が男たちを襲い、聖域は混沌に包まれた。
レオンたちは必死に戦いながら、苗木の元へと向かう。
「アーサー!あの木を止める方法は?」
アーサーが額に汗を浮かべて答えた。
「囚われた精霊たちを解放することだ!だが、無理やり解放すれば、精霊たちも消滅してしまう!」
レオンは一瞬考えた。そして決断した。
「精霊たちに選択させよう。囚われたまま苦しみ続けるか、あるいは自由を選ぶか」
彼は剣を下ろし、苗木の前に立った。
そして精霊たちに語りかけるように言った。
「私はレオン。かつては王国の勇者と呼ばれたが、今は民衆の勇者だ。お前たちの苦しみを終わらせに来た。もし望むなら、私の剣に最後の力を貸してくれ。共にこの歪みを断ち切ろう」
一瞬の静寂が流れた。
そして、囚われていた無数の光が一斉に輝きだした。
それらは檻から飛び出し、レオンの剣へと集まっていく。
剣は金色の光に包まれ、かつての聖剣以上の輝きを放った。
「ありがとう」
レオンが呟き、剣を振るった。
一閃。光の奔流が苗木を貫き、歪みの木は粉々に砕け散った。
同時に、精霊たちの光も空へと昇り、消えていった。
彼らは自由を選んだのだ。




