第1話 追放の朝
朝日がアレクシア王国の城壁を金色に染める頃、勇者パーティの宿「銀の鹿亭」では、いつもと変わらない朝食の準備が進んでいた。
しかし、今日の食堂の空気は重かった。
「……つまり、これが全員の総意というわけか」
レオン・クロフォードは、木製のテーブルに置かれた羊皮紙の文書を見つめながら、静かにそう言った。
彼の声には怒りも悲しみもなく、ただ深い諦めが滲んでいた。
文書には、彼が勇者パーティから「除名」される旨が記されていた。
署名欄には、これまで共に魔王討伐の旅を続けてきた仲間たちの名前が整然と並んでいる。
聖女セレナ・ホワイトマンは目を伏せたまま言った。
「レオン、これは……パーティ全体の利益のためよ。最近の戦闘データを分析すると、あなたの戦闘スタイルがパーティの連携を阻害していることが明らかになったの」
「データ、か」
レオンは苦笑した。
彼の隣には、魔法剣士のエルヴィン・シルバーフェザーが立っていた。
エルヴィンはかつて、レオンが命を救ったことがある男だった。
「レオン、誤解しないでくれ」
エルヴィンはぎこちない笑顔を浮かべた。
「これは君個人に対する評価じゃない。ただ……パーティとしての効率を考えた結果だ」
盗賊ギルドのエース、リリス・シャドウはテーブルの端でナイフを弄びながら、そっと言った。
「正直言って、お前の正義感が邪魔な時もあるんだよ。あの商人ギルドからの依頼を断った時だって、報酬が十分だったのに」




