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【第8話】秘密の庭園で交わした誓い――ベール越しの恋

ジェニエットは、ドミニクお兄様にお願いして今日、グラヴィスと会うための手配をしてもらった。

そのおかげで、通常なら簡単には会えないグラヴィスと、短い時間ながら庭園で会う機会が設けられた。


「ジェニエットの準備は万端か?」

ドミニクお兄様は笑みを浮かべながら、細やかな計らいをしてくれた。

訓練場の一角や通路を人目を避けるために整え、庭園へと誘導する計画まで立ててくれていたのだ。さらに、グラヴィスには「今日は秘密裏の相談がある」と伝え、そこでジェニエットと会えるように演出までしてくれた。


ジェニエットはその配慮に心を温かくしながらも、胸は高鳴る。

今日のドレスは、いつもより少し露出が多く、色っぽさをほんのり演出するもの。

素顔が美しいジェニエットは、化粧も控えめに、瞳と唇だけを少し彩った。準備は万端だった。


訓練場を抜け、庭園に差し掛かると、グラヴィスがすでに待っていた。

逃げ場のない対面に、ジェニエットは少しだけ緊張する。


グラヴィスもまた、ドミニク皇子の意図に気づき、目の前に立つジェニエットの美しい姿に息を呑む。

ドレスの柔らかな光沢、髪の香り、ほんのり彩られた瞳――どれもが彼の心を揺さぶった。


「こちらへ」

ジェニエットが静かに手を差し出し、庭園のベンチへと誘う。

グラヴィスはその手を取り、丁寧に座り、落ち着いた空気の中でジェニエットを迎えた。


ジェニエットはそっと彼の横に寄り添う。

手を重ね、少しだけ顔を近づけて視線を合わせる。

胸の奥がざわつき、心臓が高鳴る。息も弾む。


(ああ、推しが目の前にいる……薄くて形の良い唇……)

ジェニエットは、ベール越しにそっと唇を寄せ、軽く口づけしてしまった。


布を隔てたかすかな感触。

それでも、胸の奥は熱く、弾けそうだった。


グラヴィスはその瞬間、目をわずかに見開く。

ベール越しの温もりが、心を焦がすほど熱いと知ったからだ。


「ジェニエット様……」

低く静かな声で名を呼び、ゆっくりと手を伸ばす。


「よろしいですか……?」

問いかけに、ジェニエットは小さくうなずく。


グラヴィスがそっとベールを外すと、彼女の髪と頬が柔らかく光を受けて現れた。

その瞬間、彼の視線が深く熱を帯びる。


ため息混じりに目を閉じ、指先で軽く顎を支える。

今度は布越しではなく、真っ直ぐに唇を重ねる。


距離はさらに縮まり、二人の間の空気は熱を帯びる。

何度も角度を変え、深く確かめ合うようにキスを交わす。


ジェニエットはされるがまま、心の奥から幸福感を噛みしめた。


しばらく唇を重ねた後、ジェニエットはそっとグラヴィスの手を握り、微笑む。


「怖くない……私、ずっとこうしたかったの」


その言葉に、グラヴィスもぎこちなくも確かな熱を返す。

二人の心は、静かな庭園の中で少しずつ、確かに近づいていった。


---


秘密の庭園で、ジェニエットとグラヴィスがついにキス♡

ベール越しのキスは、少しじれったくも甘いですね。

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